上智の理工がなぜ快進撃を続けられるのか 学会で賞を受賞、特許を取得する学部生も
「英語コースは、今年9月に初めての卒業生を5名輩出しました。うち3名は本学の大学院へ、2名は外部の大学院に進学しています。さらに、今年は初めて博士授与を行い、タイ出身、インド出身の2名の学生が博士号を取得しました。その他、エチオピア出身、コロンビア出身の学生2名が博士前期課程を修了し、修士号を取得しています」(築地学部長)
密接なコミュニケーションの中で
引き出される学生の可能性
ダイバーシティと並んで上智大学の特色ともいえるのが少人数教育だ。特に理工学部では、学生3~4人につき1人の教員が卒業研究の指導にあたり、私立大学ではトップクラスの少人数教育体制を実現。学生と教員の距離も近い。
親身かつきめ細やかな指導は、学生の意欲を後押しし、目に見える成果をもたらしている。一例として挙げられるのが、講義を通じた特許の取得だ。16年9月には、物質生命理工学科3年の片山玲大さんが、理工共通科目「知的財産権」の受講を通じて発明した「多機能ダンボールカッター」で特許を取得。これは、ダンボールを簡単に切断して再利用できるカッターで、従来のものより利便性が高く機能的に優れている点が特許のポイントになった。「知的財産権」の講義では、知的財産制度や法律を学ぶだけではなく、問題点の解決や理想とする技術の実現を課題として設定しており、片山さんは実際にダンボールをカットする作業をみずから体験するよう教員からアドバイスを受け、その過程で新たな課題に気付いたのだという。
上智大学の教育体制は産業界からも注目を集めている。近年、企業との産学連携が急速に進んでおり、14年秋には世界的自動車メーカーのボルボ・グループと産学教育連携協定を締結。国内外のボルボ・グループ研究施設や工場においてインターンシップが行われている。研究の面においても、日産自動車・トヨタ自動車をはじめとした多様な企業との受託研究を通じ、新たな技術開発に挑んでいる。国内外のグローバル企業からの引き合いがあるのは、教授陣や学生たちの高い評価の裏付けでもあるだろう。
2017年に理工学部は創設55周年を迎える。ますます複雑化、多様化する社会のニーズに応えるべく、「理工ソフィアン」は進化を続けていく。