テレビが「面白くない」のには理由がある

現役番組制作会社スタッフ匿名座談会

Cさん:セクハラやパワハラも問題です。飲み会の席で先輩から「お前をディレクターとして育ててやるから」と体を触られ、露骨に体の関係を迫られました。ADからディレクターに昇進するには先輩に引き上げてもらい、可愛がってもらわないと難しいから、強く出ることができず、歯がゆかった。

Bさん:もっとも、ディレクターになっても、実態はADということは多い。若手が育たないから、ディレクターの仕事が減らない。ロケの場所の仕込みや車両の手配にリサーチ業務……いまだにAD業務をやっている。AD不足は、いま現場で一番がむしゃらに働いているディレクターの最大の悩みなんですよ。

Aさん:いまの若手はテレビに対する情熱が薄いからね。昔はリサーチをお願いされたら、図書館に行って調べたり、聞き込みに回ったりしたもの。いまの若手は平気でネット上のまとめサイトのページをコピペして出してくるなど、汗をかこうとしない。とにかく、面白い番組を作ろうという意欲がない。

地デジ移行で制作費カットに

Dさん:テレビすら持ってない若手も珍しくないからね。その分「なぜネット炎上は起こるのか?」みたいな、我々世代にとってはある意味斬新なテーマを出してきたりもするけど、テレビは基本、高齢者向けに作っているから企画も通りづらい。

制作費が下がって薄利多売にならざるを得ず、いまは国内ですら地方となるとディレクター1人で行く時代。海外ロケにも若手を連れて行き、そこで先輩が教えるという文化があった昔とは大違いです。仕事後に飲みに行くこともめっきり減ったし、いまの若手はモチベーションを持つのが難しいという面もある。

Eさん:制作費が下がり始めた最初のキッカケは、地デジ化だったんじゃないかな。その設備投資におカネがかかるからという理由で、あれから緩やかに下がり続けている感じだね。例を言えば、ニュース番組の15分の特集を作るのに15年くらい前なら150万円は出たけど、いまは100万円。その結果、グルメもの中心になってしまった。下調べに時間がかかるとはいえ、取材は3日程度で終わる。

一方で、たとえば詐欺グループを追うような調査報道ものは、下手すれば半年かかる。時間と手間がかかることはできず、昼のワイドショーに至っては、もはや自分たちでネタを取材せず、週刊誌を朗読するだけ。

Dさん:制作費削減の影響でディレクターの仕事も増えました。理由は二つです。

一つ目はカメラの小型化。昔は1台1千万円以上もしたけど、いまメインで使っているのは100万円以内で買えるティッシュ箱くらいの大きさのもの。スマートフォンでも放送に堪えうるレベルの動画を撮れるようになってしまった。結果、昔は技術プロダクションに委託するのが当たり前でしたが、経費削減のために本当に技術が必要な大自然モノやスポーツなどを除き、ディレクターが撮っている。

二つ目は「ファイナルカット」などの優れた編集ソフトが出てきたこと。経費削減のために外注せず、自分でやれることは自分でするという方針のもと、仕事は増えていくばかりですね。

Eさん:経費削減は、テレビ局も同じ。私の体感でいえば10年くらい前は8割くらいが正社員だったけど、いまは4割くらい。大半が有期雇用の契約社員か、制作会社からの出向組。そんな調整弁のように社員を使っていたら、経験も蓄積されず、会社への愛も薄れ、面白い番組も生まれてこない。テレビ局社員の高額給与を維持するには、仕方がないのかもしれませんが。

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