アナリティクスが創出する
新しいビジネス価値
BtoBの企業が
成功している要因は
―ビッグデータを経営に生かしている例というと、大手小売業などBtoCの企業という印象があります。製造業などBtoBのビジネスでも、ビッグデータを活用できますか。
元橋 それは大事なポイントの一つです。日本のものづくり企業の多くは、自動車産業などサプライチェーンに組み込まれて成長してきた歴史があります。しかし、グローバル化の進展などにより、今までの常識が通用しなくなっています。
とりわけ、日本の産業競争力を支えている中堅企業は、圧倒的にBtoBの割合が多い。私は、高い競争力を発揮している中堅企業20社余りをインタビューした経験があるのですが、そこで各社共通の成功の要因として見えてきたのは、いずれの経営者も、自社の納入先のその先にまで視野を広げ、マーケットの全体像を理解し、将来を予測した取り組みを行っていることでした。このように、顧客の顧客、すなわちBtoBtoCの動向までを考慮して経営戦略を立てるためにも、ビッグデータの活用が必要になっていくのではないでしょうか。
―ITを経営に活用しようとする企業は少なくありませんが、成功している企業とそうでない企業の差はどこにあるのでしょうか。
元橋 成功している企業は、マーケットや顧客のニーズを理解し、「自社は何をすべきか」を考えることに力を注いでいます。そのためにITを活用しているのです。
一方、日本の多くの企業では依然として効率化のためにITを導入しているところが多いようです。一歩進んで、課題の「見える化」に取り組んだとしても、次のアクションがなければ、課題が見えただけになってしまいます。大切なのは、データを活用し、意志決定に役立てることです。