グローバル・マネジメント・フォーラム2013
経営管理の世界標準化
クロスボーダーM&A
サプライチェーンマネジメントの実務
【中国M&A戦略トラック】
【講演Ⅰ】
「中国M&Aにおけるポイント、対応策」
~実例・実務(現地の生情報)に基づいた解説~
中国で日系企業に特化したサービスを提供する開澤法律事務所の王穏氏は、生産能力の増強や市場参入を目的とした従来型のM&Aが減り、規制業種への先占目的や撤退型、関連企業間を合併するM&Aが増えていると指摘。中国特有の留意点に労務人事問題を挙げ、「労務紛争の履歴やストライキの予防、対策を事前に確認すると同時に、発生時はローカルの優秀な幹部を活用すると効果的」と話した。法務面で散見される問題点としては土地・建物の権利、営業許可証などの瑕疵、税務や行政処罰のリスクを挙げ「経営者の身辺調査の徹底や、法的文書も行政に事前確認を取るのが望ましい」と訴えた。
【講演Ⅱ】
「中国M&A・組織再編に関する税務上の論点整理」
中国本土で最も歴史のある会計事務所の一つであるグラント・ソントン中国 致同会計師事務所の前島召治氏は、「M&Aに関する中国の税負担には、企業所得税(法人税)や流通税などがあり、税率と課税対象に注意してほしい」と呼びかけた。また一定の要件を満たしたディールには税を課さない特殊税務処理を紹介。事業目的の合理性や再編対象の資産、持分比率、支払い形式など五つの要件を満たしたうえで、日中間のクロスボーダーM&Aにおいて特殊税務処理を適用できる手法は事実上二つのケースに限定されると話し、「理論と実務は異なるし、税務当局の許認可を受けるのは一苦労だが、北京では他地域に比較して認められやすい」と語った。