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アベノミクス時代における
分散投資の考え方

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
アベノミクスによって円安が進んだのは周知のとおりだ。昨年11月、衆院解散が決まった時点のドル円レートは、1ドル=79円。それが今年4月には、1ドル=100円の目前まで円安が進んだ。これが何を意味するかというと、「グローバルに見た円の資産価値が20%も目減りした」ということだ。

「円安」の本当の意味

金融ジャーナリスト
鈴木 雅光

おそらく、円の資産価値が目減りしたことを実感している人は、ほとんどいない。それは、日本国内で生活するうえで使う通貨が円だからだ。

しかし、このまま円安が進めば、円の資産価値が目減りしたということを、あらためて認識するだろう。

たとえば原油。日本は海外から資源・エネルギーの多くを輸入している。5月時点の原油価格は、1バレル=約90ドル。1ドル=100円であれば約9000円。もし、1ドル=120円になったら、同じ1バレルの原油の円建て価格は約1万800円になる。同じ物を同量買うのに、円安が進むと余計にお金を払わなければならない。それは、円の価値が目減りしたということだ。

日本人は、預貯金が大好きだ。1547兆円ある個人金融資産の55.2%に相当する854兆円が、現預金で占められている。ちなみに投資信託は4.0%、株式は6.8%しかない。預貯金金利がほぼ0%に近い水準であるにもかかわらず、である。

もちろん、これまでは物価がどんどん下落するデフレ局面だったので、それでも良かった。しかし、アベノミクスはインフレ政策である。仮に今後、物価上昇が続いたら、物価上昇率を超えるリターンを得ないことには、資産価値が目減りしてしまう。預貯金にお金を預けっぱなしにしている人は、これからそのリスクにさらされることになる。

アベノミクス時代の資産運用は、お金を預貯金に預けてじっとしているだけではダメだ。とはいえ、しゃにむにリスクを取るのも感心しない。大事なことは、リスクをコントロールしながら運用することである。

分散投資は
リスクコントロールの要

投資に損はつきものだ。株式にしても投資信託にしても、値上がりと値下がりを繰り返す。こうした「価格変動リスク」をコントロールするためには、何といっても分散投資が有効だ。

たとえば円建ての預貯金だけを保有していると、円安になった時、資産価値が目減りするリスクがある。それを回避するためには、円安で収益が得られる金融商品に投資すれば良い。外貨建て債券や外貨MMF、海外の資産を組み入れて運用する投資信託などが、その代表選手だ。

ただし、円安で収益が得られるということは、逆に円高では損失が生じることを意味する。そこで、円高局面で利益が得られる資産を、さらに組み合わせる。たとえば、円高で業績向上が期待できる輸入企業の株式などが良いだろう。

さて、日本企業の株式に投資するならば、海外企業の株式にも投資することで、日本の景気サイクルに資産価値が左右されるリスクを軽減できるかも知れない。もっとも、海外企業の株式は土地勘がないうえ、銘柄選びも大変だとなれば、海外の株式を組み入れて運用する投資信託を購入するという選択肢もある。

いかがだろうか。これで日本株式、海外株式、日本の安定資産としての預貯金という組み合わせができた。これでも満足ができず、さらにリスクを軽減させたいのであれば、金などのコモディティを加えても良い。基本的にコモディティは、株式や債券とは逆相関の関係にある。つまり、株価が上昇している時に、コモディティは値下がりするが、株価が下落している時は、コモディティの上昇が資産全体のリスクヘッジにつながる。

このように、さまざまな異なる資産クラスに分散するのが「資産クラス分散」だが、さらにリスクをコントロールするのであれば、「時間分散」も同時に図った方が良い。要は積立投資である。それも毎月、一定金額で積立投資を続けていけば、価格が高い時は少ない分量で、価格が安い時にはより多めの分量で投資する形になるため、結果的に平均の買い付け単価が引き下げられ、値下がり時のバッファを稼げるようになる。

 

 

定期的な
リバランスを忘れずに

分散投資をする場合、案外多くの人が見落としがちなのが、「リバランス」だ。リバランスとは、ポートフォリオのバランスを再調整することである。

たとえば100万円の資金を、日本株投信に50万円、海外株投信に50万円という比率で投資したとしよう。株価は常に変動しているので、投資した50万円が60万円になることもあれば、30万円に目減りすることもある。

上記の比率で1年間運用した結果、日本株投信が大きく値上がりして80万円に。一方、海外株ファンドは値下がりして30万円になったとしよう。この時の時価総額は、80万円+30万円で110万円。利益は出ているが、問題は両者の比率だ。

当初、50%ずつだった投資比率が、1年後には日本株ファンドが約73%、海外株ファンドが約27%になる。このまま運用を継続すると、当初のポートフォリオは日本株と海外株から受ける影響が半々だったはずなのに、1年が経過した時点では、より日本株からの影響を強く受けることになってしまう。

そこで日本株ファンド80万円のうち25万円を解約するとともに、海外株ファンドを25万円分買い増せば、両者は55万円ずつになり、当初の投資比率と同じになる。

ただし、リバランスはそれほど頻繁に行う必要はない。たとえば分散投資を投資信託で行おうとした場合、あまり頻繁に解約、追加購入を繰り返すと、購入時にかかる手数料相当分で、せっかくのリターンが目減りしてしまう恐れがあるからだ。もちろん「ノーロード」といって、購入時の手数料がかからないファンドであれば、コストの問題は解決できるが、そうでない場合は、1年に一度くらいの頻度でリバランスを行えば十分だろう。

このように、リスク資産での運用は、リスクを上手にコントロールすることにポイントがある。そのためには、資産クラス分散と時間分散という二つの分散投資を心がけるとともに、定期的なリバランスでつねに当初の投資比率を維持することが、成功のカギを握る。