「バスタ新宿」のコンビニ賃料が激安なワケ 法律上は全体が「国道」という特殊な事情
国道上に売店を設置することになるため、業者が国交省に支払うのは賃料や借地料ではなく、正確に言うと「道路占用料」だ。国交省によると、入札の際の最低額は周囲の地価などを調べた上で設定しているが、今回は業者が施設内の清掃や点検などへの協力を行うことを前提に90%減額しており、1平方メートルあたり年間28800円としたという。
これは、官民連携の一環として「食事施設、購買施設その他これらに類する施設で道路の通行者又は利用者の利便の増進に資するもの」については「道路維持管理の協力が行われる場合、道路法施行令で定める額の90%を減額する」とされているためだ。実際の落札額は1平方メートルあたり36600円だったが、業者はこれに加えて「公共貢献」を引き受けることになる。新宿駅の真上としては破格の低額に見えるのは、これが理由だ。
国交省によると、入札にあたっては施設内の清掃、エレベーターやエスカレーターの点検、交通誘導など、現在は同省が担当している維持管理業務を、業者が行う公共貢献の内容として提示。このうち数項目は必須とし、残りの項目については業者が引き受ける分を選択する形として、その件数についても業者選定の際の評価に含めたという。
「公共貢献」というと、コンビニ店員が施設管理などを行っている姿を想像するが、設備点検などは専門業者でないと難しい面がある。そのため、実際にどうするかは業者との協議次第ではあるものの、国交省としては売店を運営する業者がメンテナンス業者などに委託する形を想定したという。ちなみに、公共貢献の項目中には「トイレの清掃」は含まれていない。待合所のある4階のトイレ清掃は国交省ではなく、バスタ新宿の管理・運営を行っている「新宿高速バスターミナル株式会社」の担当となっているためだ。
なぜ最初から売店がなかったのか
もともと需要は確実に見込めたはずのバスタ新宿内の売店。なぜ当初から売店などの施設を設けなかったのだろうか。東京国道事務所の西尾文宏副所長は「(飲食店なども入居する)複合施設なので、バスタ新宿はバスが集まる場所として機能分担をするという考えだったが、実際に開業してみると簡単な買い物ができる場所が欲しいという声が多かった」と説明する。今後はコンビニの設置とともに、混雑が激しい女子トイレの増設も行われるが、利用者から見ればどちらも後からの対策ではなく、最初から考慮してほしかった部分だろう。
また、入札にあたっても、バスタ新宿が「国道そのものである」という点によるさまざまな条件が、業者側にとってやや分かりにくい内容だったことは否めない。藤坂課長は「入札する業者から見ると、馴染みのない形であったことは結果として否定はできない」と話す。
なにはともあれ、やっと決定したバスタ新宿へのコンビニ設置。やや遅くなった感はあるものの、利用者にとっては1日も早い営業開始が望まれる。
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