グローバル経営支援セミナー メキシコ編 メキシコ経済の現状と経営上の留意点
【第3部講演】
「メキシコ物流事情」
郵船ロジスティクスの清水洋氏は、最初に現地駐在のポイントを指摘。日本語通訳確保の難しさを挙げ「スペイン語のできる日本人を雇って行くことを考えるべき」と述べた。
メキシコでの物流は、陸上トレーラー輸送の割合が約5割と高く、米国との物流はテキサス州の内陸港、ラレドが拠点になる。また、太平洋・大西洋の両側に港がある海運の便も良く、太平洋側のマンサニージョ港では取扱量拡大に向けた整備も進む。このほか、コスト削減を図れる鉄道利用の引き合いも増えているという。
実務面は、メキシコでは物流業者が通関業務をできないので、別に通関業者を探して契約する必要がある。日系メーカーの設備搬入などで経験を積んだ清水氏は「通関業者の紹介も含め、さまざまなノウハウを得ています。32カ国に広がる拠点を生かし、メキシコと世界を結ぶサービスメニューを提供します」と語った。
【第4部講演】
「JICAの民間連携の取りくみとメキシコ事例の紹介」
JICAの高野剛氏は、民間連携を進めるための企業支援制度について説明。「途上国・新興国支援のためにも、海外展開する民間企業を支援している」と述べた。
メキシコでは、日系企業進出に合わせた現地裾野産業の育成が重点の一つ。地元優良サプライヤー企業のリストアップやそれら企業の生産性向上、また、不足しているプラスチック射出成形技術分野の人材育成などのための技術協力を実施している。さらに、日本式経営やものづくりについての現地企業幹部向けのセミナー、研修を官民連携で開催している。
JICAでは、PPP(官民連携)によるインフラ事業、BOP(貧困層対象)ビジネス、中小企業の海外展開を促進するため、調査費の支援や受入国ビジネス環境整備につなげる制度を創設・実施している。高野氏は「途上国・新興国でのビジネスに、JICAの支援制度をご活用いただきたい」と語った。