グローバル経営支援セミナー メキシコ編 メキシコ経済の現状と経営上の留意点
【第1部講演】
「メキシコ経済これまでの軌跡
~更なる飛躍へのアジェンダ~」
メキシコ政府貿易投資促進機関(プロメヒコ)日本オフィス・メキシコ大使館商務部のアーロン・ベラ氏は「マクロ経済は堅調で、ビジネス環境改善も進んでいます」と述べ、競争力のある労働力創出に向けた労働法改正など、政府の取り組みを説明した。
産業別では、乗用車の新車輸出で世界4位に成長した自動車分野について「まだ7割の部品を輸入に依存しており、外資企業のビジネスチャンスは大きい」と話した。また、コスト競争優位性があるIT、電機・電子、医療機器、航空宇宙産業の分野や、ポテンシャルが大きい再生可能エネルギーなど、政府が戦略的に重視する産業の可能性も強調した。
ベラ氏は、州政府が独自に提供する投資インセンティブ獲得には、地元へのメリットを示して交渉する必要を指摘。「プロメヒコは、投資にあたってアドバイス、サプライヤー情報などを提供し、支援します」と、コンタクトを呼びかけた。
【第2部講演】
「メキシコに於けるオペレーショナルリスクマネジメントについて」
東京海上メキシコの平井正仁氏は、メキシコでの企業活動を取り巻くリスクを解説。「リスクを定量的に分析し、適切にマネジメントすることが重要だ」と語った。
リスクを災害、事業、外部環境に分類。災害リスクは、メキシコ太平洋岸の地震、ハリケーンなどがあるが、自動車関連メーカーが進出している中央高原のバヒオ地域は両リスクとも少ないという。事業リスクとしては、電気系統が出火原因の9割とされる火災、輸送中の貨物破損・盗難などを防ぐロスプリベンションや、サプライチェーンを強化する事業継続計画(BCP)の必要性を訴えた。
外部環境リスクでは、治安や衛生面の問題を指摘。平井氏は「メキシコでの事業リスクは、対策を講じることで十分コントロールできる水準にあり、メキシコ経済の強みを勘案すると、他の国々と比較しても進出する魅力が勝る。リスク管理は、東京海上グループにお任せいただきたい」と述べた。