チューリッヒ生命

仕事ができなくなったら、
あなたの家計はどうなるのか
後遺症が残りやすい「脳卒中」

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40代以降で急激に増える脳卒中。脳卒中では、一命をとりとめても体の麻痺や言語障害などの後遺症が残り、その後の就労が難しいケースが少なくない。働き手が終わりの見えない要介護の状態になったとき、家計はどうなるのだろうか。いざというときに利用できる公的保障や、保障を受けるための留意点についてまとめた。

ほかの三大疾病よりも
長期にわたり働けなくなるリスクがある

かつては日本の死因の第一位を占めていた脳卒中(脳血管疾患)。厚生労働省の「平成26年患者調査」によれば、脳卒中の総患者数は約117万9000人に上る。脳卒中というと高齢者がかかる病気と考える人も少なくないが、実は40歳代で増え始め、50歳代以降急激に増加する。つまり、働き盛りの40〜50歳代でも、脳卒中になるリスクが十分にあるということだ。

中根 一(なかね まこと) 帝京大学医学部附属溝口病院、脳神経外科、教授。1987年東京大学卒業。脳血管障害、認知症、脊髄外科が専門。日本脳卒中学会専門医、日本脳神経外科学会専門医。

そもそも脳卒中とはどのような病気なのか。帝京大学医学部附属溝口病院の中根一教授は次のように説明する。「脳卒中は、大きく2つのタイプに分かれます。一つは血管が詰まる『脳梗塞』や『一過性脳虚血発作』。もう一つは血管が破れる『脳出血』や『クモ膜下出血』です。脳梗塞などでは「詰まった血管の先に栄養が行き渡らないためにその部分の脳細胞が死にます。一方、脳出血では脳内に漏れた血液が塊(血腫)になり脳細胞を圧迫。こうした脳へのダメージにより、体の麻痺やしびれ、言語障害、嚥下障害などが起こり、後遺症として残ることが多いのがこの病気の大きな特徴です」。

実際、今や脳卒中はがん、心疾患、肺炎につぎ日本人の死因の4位(厚生労働省、平成27年人口動態統計)に下がったものの、介護が必要になった原因をみると、その1位は脳卒中だ(厚生労働省、平成25年国民生活基礎調査の概況)。しかも、脳卒中では、要介護度が高い傾向にある。

中根教授は、「脳卒中では、急性期病院での治療の後も、リハビリテーション病院での治療など、入院期間が長くなり、その後も在宅療養が必要になるケースが少なくありません」と話す。

大きく崩れる
家計の収支バランス

井戸美枝(いど みえ)
社会保険労務士、CFP、1級FP技能士、キャリアカウンセラー(GCDF)。社会保障審議会企業年金部会委員。企業年金や保険、年金、介護などの公的保障に詳しい。「世界一やさしい年金の本」(小社刊)、「お金が貯まる人となぜか貯まらない人の習慣」(明日香出版社)、「知らないと損をする国からもらえるお金の本」(角川SSC新書)など、著書多数。

療養期間が長い上に、要介護状態でその後の就業が難しくなるリスクが高い脳卒中では、家計の収支バランスは大きく崩れることになる。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝氏は、「治療や介護などで支出が増えるばかりでなく、働けなくなるために収入が減ります。住宅ローンや子供の教育費は急に減らすことができないものです。そのため、借り入れや教育費の負担が大きく、貯蓄も少ない働き盛りの若い世代では、家計の収支バランスは大きく崩れることになります」と指摘する。

そうしたときに、生活のより所となるのが公的な保障だ。まずは、どのような保障があるかをみていこう。

脳卒中の治療にかかる医療費については、「高額療養費制度」を使える。これは、1カ月に医療機関に支払う自己負担額が一定の額を超えた場合、超えた分の払い戻しが受けられる制度だ。

また、介護が必要になった場合には、公的介護保険がある。ただし、公的介護保険を受給できるのは40歳以上の人だ。

一方、働けないために減る収入に対しては、会社員の場合には勤務先の健康保険から給付される「傷病手当金」と、年金から支給される「障害年金」がある。

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