品質や価値とのバランスの中で
戦略的に間接材コストの最適化を図ることが重要です。
失われた20年に終止符を打ち、日本企業が再び成長に向けてさらなる行動を起こしていく過程において、意識的に無駄を削ぎ取る努力を続けない限り、またいつか来た道へ戻ることになります。肥大化したから、劇的なダイエットをしようという発想はもう通用しません。それが、世界の熾烈な競争の中にカムバックするための重要な条件です。
現場目線でその会社の間接材を定義すること
―コストを考える上で気をつけるべき点は。
遠藤 間接材、広くは間接部門全体のコストということになりますが、これをいかに最適化していくかがひとつのポイントです。直接材は目につきやすく、標準原価、あるいは標準コストという考え方があるから、それを守らなければならない、さらには引き下げる方向へもっていかなければならないという意識と努力が利きます。
しかし、間接材は企業にとってコアではないので、なかなか目につきにくい。しかも多岐多様なため、まとめれば大きな費用になるものの、1つ1つの品目としては小さく、これらを管理、統括する部署もそれぞれ違うので、全体のコスト構造が見えにくいという特性があります。その結果として、一番贅肉がたまりやすい部位になってしまうわけです。ですので、直接材のみならず、間接材にもきちんと目配りしなければなりません。
企業活動の本質は、経済合理性を徹底的に追及することにあります。無駄な間接材コストは省くのは当然のことです。ただし、企業によって間接材の定義は異なります。一律にこれは間接材で、こっちは直接材だと決めることはできません。例えば、営業マンが持つパソコンや携帯電話などは間接材と捉えられがちですが、日々の業務を円滑に行うための道具、お客様とのコミュニケーションに不可欠な道具と考えれば、限りなく直接材に近いグレーソーンの間接材というポジションになるかもしれません。
間接材だから安ければ安いほどいいと決めつけてしまうと、自社製品の品質やサービスに影響をきたしてしまう可能性のあるものだって存在するはずです。ですから、携帯電話であればなぜこの機種なのか、パソコンならなぜこのスペックで、このソフトを搭載しなければならないのか、現場に判断を委ねるところは委ねる。