成果を出す人は「ムダな問題意識」を持たない 「ミニマル思考」でストレスから身を守れ
こんなケースがあります。若手社員が自社のウェブサイトに不満を感じ、「もっと洗練されたデザインにするべきだ」「こんなサービスも加えるべきだ」と上司に提案したのに聞き入れてもらえない。その結果「うちの上司は頭が固い」「なんで俺の企画が通らないんだ」とすねてしまう。
この場合、上司としては「狙った客層に届いて、それなりの売り上げが出ていれば、ダサいデザインでも変える必要がない」という判断かもしれません。上司は「実際に売れているかどうか」という事実を見ているのに対し、若手社員は「自分の理想」「自分のセンス」「『お客様が喜ぶはずだ』という憶測」に固執してしまっているわけです。
もしこの若手社員が自分の理想やセンスで自社サイトのデザインを変えたいのであれば、そして自分のアイデアに自信があるのであれば、「このデザインのほうがこんな客層からのアクセスが何パーセント増える」という「事実」をプチ実験するなり文献を探すなりして示せばいいのです。実利があるとわかれば上司も動くかもしれません。
職場でくすぶっている人、頑張っているのに報われないと不満を持つ人は価値観や感情が先に立ってしまっていることが多いものです。そこから抜け出して成果を出すためには「実利・実害にかかわる問題以外は考えない」くらいの割り切りが必要です。
「不謹慎狩り」と「傷つきやすい人」の思考回路
災害など不幸な出来事があるたびにネットで話題になる「不謹慎」という感情も「実害のないムダな問題意識」のひとつです。
たまたま世界のどこかで災害があったときに誕生パーティーの写真を投稿したとしても、それで誰かに「実害」があったわけではありません。「不謹慎」の正体とは、当事者でもない人が「これを見たら誰かが傷つくかもしれない」と気を揉んでいる憶測に過ぎないのです。
一方、成果を出せる人は「被災地に足りないものは何か、自分にできることは何か」という事実に目を向けてさっさと行動しているものです。
憶測で騒ぎ立てる癖をなくすためには、「誰にどんな実害があったの?」と過去形で問い直してみるといいでしょう。「どんな実害がありそうか」という未来形ではありません。実際に起きた事実は過去形で語れるはず。それができなければ単なる憶測に過ぎないのです。
たとえ善意であっても、憶測でものを言う人は職場や社会をかき乱して迷惑をかけがちです。また、中には反対に憶測の負のパワーを自分に向けてしまい、苦しむ人も少なくありません。
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