金融産業革命の本質と未来考察 FinTechの波がもたらす創造的破壊の全貌
【ブレイクアウトセッションⅠ】〈FinTech×企業経営〉
FinTechと産業革命
一橋大学の野間幹晴氏は「FinTechが着目される背景には、顕著な技術的ブレークスルーがある」と指摘。FinTechがもたらす革命を、金融取引領域の革命、テレマティクスを使った自動車保険などFinTechと産業の結合、電子調達プラットフォームによる調達取引・経理処理の電子化などFinTechによる産業革命、の3層に分類。FinTechとともに人工知能も大きな影響を与えると予想した野間氏は「FinTechはIT技術を使って企業価値を高めることが本質で、金融機関だけでなくすべての事業会社が参加すべきフィールド」と話した。
【ブレイクアウトセッションⅡ】〈FinTech×トレジャリーマネジメント〉
クラウドを利用した財務戦略の高度化と内部統制の強化
キリバの副島弘行氏はキリバのクラウド型トレジャリーマネジメントシステムとSWIFTという二つのインフラを利用することにより、グローバル財務管理が飛躍的に高度化できると語った。各国に散在するグループ会社の受発注明細、グループ間取引明細、外国為替ヘッジ状況、銀行取引明細、財務・投資キャッシュフローなどの財務情報を集めて利活用することにより、グループ全体であたかも一つの財務管理システムを使っているような管理を実現でき、内部統制強化や財務指標改善にも役立てることができると語った。
【ブレイクアウトセッションⅢ】〈FinTech×デジタル決済〉
決済におけるFinTechリーダーとして進化していくVisa
デジタル決済の未来と企業ニーズとの関連性
Visaの鈴木章五氏は、日本では未導入のVisaの多様なサービスを紹介。研究開発や、事業者と協働する拠点を拡充し、中核システムのVisaNetをオープンにするなど新規サービス開発に向けたインフラ整備の意気込みを示した。法人向けにVisaは、カードの取引データをERPに自動取り込みできるソリューション等で、購買・販売の煩雑な業務の効率化を推進。ジェニファー・フォン氏は、「変化の激しい決済環境、顧客ニーズに対応するため、カード情報のデータ化を可能にするVisaは最良のFinTechパートナー」と訴えた。
【ディスカッション】〈FinTech×金融EDI〉
企業金融に起こるイノベーション、金融EDIの未来像
決済・金流情報に商流の電子情報を乗せる金融EDIの取り組みを浪川氏が尋ねた。全銀協会長行SMBCの川越氏は、全銀協の実証実験で、売掛債権消し込み作業を効率化できたことを説明し、今後は「データ項目標準化が課題」とした。花王の牧野氏も、グループの卸会社と、小売り、物流の三者による商流・決済情報連携の実験で作業効率化を確認。「金融EDIのメリットをもっと宣伝することが大事」と述べた。小島プレスの兼子氏も、EDI連携で同日検収・同日支払を目指した実験で、消し込み作業の削減効果を確認。「労働人口減の中小企業の生産性向上が重要」と語った。日立の北村氏は、EDIのフォーマット統一について、ステークホルダーが多く、意見をまとめる難しさはあるが「サプライチェーン全体に資するように考える」とした。経産省の植木氏は、商流情報の標準化について、本年中に結論を出すとした、今年の日本再興戦略(素案)を紹介。「オープンな議論をしていきたい」とまとめた。
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