グローバルで通用する人材の条件 キャメル・ヤマモト デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター

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日本人ビジネスパーソンが再評価されるとき

ビジネスパーソンがグローバル人材になるためには、言語やバックボーンが異なる人たちにも通用するリーダーシップやコミュニケーション力を身に付けなければならないのだが、この先情報化が進むにつれ、さらに高度な力も求められるようになるだろう。インターネットや電話で世界中とつながれる今は、1回も会ったことがない人たちとプロジェクトを進めることもある。南アフリカやエジプトの人と、電話会議とメールだけで仕事をするということも十分にありうるわけで、彼らに頼んだことを期日までにやってもらうためには、顔をあわせて仕事をするときとは違ったリーダーシップやコミュニケーション力が求められることだろう。

現状では、日本のビジネスパーソンがこうした点で遅れを取っていることは事実であろう。しかし悲観する必要はない。日本人の能力が低いわけではなく、これまで、そうしたスキルや能力の必要性、それらを発揮する機会がなく、経験がないだけなのだ。

カルロス・ゴーンが「グローバルプロジェクトに参加する日本人は、最初は質問も発言もあまりしない。しかし、プロジェクトが進むにつれ、期日はきちんと守るし、言ったことはやることがわかってくる。できないことはできないと言う。チームワーク、仕事に対する献身的な姿勢もある」というような発言をしていたことがある。要は「作業者」として見れば日本人は現時点でもきわめて優秀なのである。しかし、グローバルな環境のなかでは、作業をデザインし、リーダーシップを発揮できなければ存在感を示すことはできない。

そうした能力を身に付ければ、元来能力が高い日本人ビジネスパーソンは今後、大きく存在感を示すことができるだろう。その練習は日本人の間ででも、リーダーシップの左手を使うように心掛ければ積むことは可能である。慣れ親しんだ右手同士で振る舞うことに慣れた日本人たちを左手で引っ張ることができるようになれば、むしろグローバル環境でのリーダーシップは簡単に見えてくるかもしれない。