7割が無許可…京都市の「民泊」は変われるか 小手先の要件緩和だけでは対処しきれない
「火災や震災など、災害発生時に宿泊客の把握ができない、保険が適用できない、不法滞在者の隠れ家となる、感染症発症時の感染経路特定や被害拡大防止ができない、といった問題が考えられます。
また、マンションなどの集合住宅では、不特定多数人が出入りしたり、宿泊客が居室や共用部分で騒いだり、共用部分を占領したりするなどして、既存住民との間で問題を引き起こしています。場所によっては、不特定多数人を有料で居室に宿泊させる行為を禁止する旨の管理規約や使用細則を作成し、民泊を禁止しているところもあるようです。
さらに、既存の宿泊施設は、費用や時間といったコストをかけて、旅館業法上の許可要件をクリアしていますが、旅館業法等の関係法令に基づく許可を得ていない民泊は、それらのコストをかけていません。両者との間で価格競争が激化すれば、価格が安い方に軍配があがり、既存の宿泊施設の経営が成り立たなくなる恐れもあります」
小手先の要件緩和では対応しきれない
今後、どのような対応が求められるのだろうか。
「許可を得ている割合が低いのは、旅館業法等の関係法令に基づく許可要件をクリアすることが難しいことが一因となっています。
現状、ネックになっているのは、面積要件のみならず、有人フロントの設置義務、トイレの個数、建築基準法・消防法関係など、多岐にわたっており、小手先の要件緩和では対処しきれないと思われます。
他方で、2020年の東京オリンピック開催を控え、今後も、外国人観光客の増加に伴い宿泊施設が不足する状況が続くことが予想されます。
現在、東京都大田区や、大阪府・大阪市では、国家戦略特区及び民泊条例を利用した枠組みが整備されつつあります。今後は、上記の問題点を踏まえ、慎重に、それでいて、迅速な、新たな枠組み作りが求められているといえます」
中島弁護士はこのように話していた。
京都弁護士会:刑事委員会(裁判員部会)、民暴・非弁取締委員会、法教育委員会、消費者問題委員会
日本弁護士連合会:貧困問題対策本部
事務所名:弁護士法人京阪藤和法律事務所京都事務所
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