クロスピア2016春

知識の習得と人間力養成のバランスを図ることが重要

昭和女子大学では、そうした実状を踏まえて、他大学と同様のアドミッションポリシー(入学者受入方針)、カリキュラムポリシー(教育課程の編成方針)、ディプロマポリシー(卒業認定・学位授与の方針)のほかに、キャリアデザインポリシー(社会的・職業的自立に関する方針)を定めています。学科ごとに、将来どんな職業に就いて人生を送るのか、その目標を実現するにはどんな科目を学んで、どのような能力を身につける必要があるのか、明確に示しています。大学の学びが自分の将来像と結びつくことで、学生の学びのモチベーションも高まっています。

女性の場合は、とくにキャリアデザインが重要になります。20世紀後半までは、長期安定雇用が約束された男性と結婚し、最期まで添い遂げ、子どもを育てることが、女性の幸せだと信じられてきました。けれども、現在では、多くの男性が生涯安定雇用ではなくなっていますし、離婚率も上昇しています。女性自身が自立して、自分の責任で、人生とキャリアをデザインする力が求められており、その意識を涵養することが、女子大の役割にもなっているのです。

その一環として、昭和女子大学で導入しているのが「社会人メンター制度」です。約300名の多彩な世代・職種の社会人女性の協力を得て、学生にキャリアデザインに関するアドバイスをしていただく制度です。メンターのうち、本学の卒業生は1割程度なのも特徴です。多様なバックグラウンドの社会人と接することで、「気づき」が生まれることを期待しています。

学生プロジェクトなど主体的な学びが活発化

大学時代は、社会とのつながりを意識することも大切です。

昭和女子大学では、社会人研究員を中心に構成される現代ビジネス研究所を開設。企業や地域社会の課題を解決するプロジェクト活動を展開しています。たとえば、輝け☆健康「美」プロジェクトでは、学生食堂のメニュー、ローソンのお弁当、ジェットスターの機内食などを開発しています。昨年は早川書房と連携し、新レーベルの立ちあげと宣伝戦略を担当しました。女子学生ならではの目線、センスが大いに参考になると、企業からも好評で、協力企業が大幅に増えています。学生にとっても、貴重な成長の場になっています。教科書で学ぶ知識は正解が1つのケースがほとんどですが、現実社会では複数の正解があることも少なくありません。逆に単純な正解はなく、次善の策を考える必要がある場合も多いでしょう。多様なシーンに遭遇することで、総合力が養われる意義が大きいのです。

ただし、学生にも、高校生にもぜひ意識しておいてほしいことがあります。確かに、体を動かすプロジェクト活動は楽しく、学生も生き生きと取り組みます。けれども、それだけでは十分な成長は望めません。コツコツと本を読んで、情報を収集し、知識を習得する学びもおろそかにしてはいけないのです。知識がなければ、アイデアも浅いものになってしまうからです。

高校生にも同じことがいえます。先述したように、今後の大学入試では、受け身の姿勢で教えられたことをそのまま覚えればいいわけではなく、自ら問題意識、知的好奇心を持って、主体的に考える力が要求されます。だからといって、知識をないがしろにしていいというものではありません。コミュニケーション力、プレゼンテーション力といったスキルを高めるだけでは不十分で、他者と語る中身、発表する中身こそが重要なのです。知識の習得と、広い意味での人間力の両方をバランスよく高める学びが大切だということを意識してほしいと思います。
 

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