知識の習得と人間力養成のバランスを図ることが重要

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
社会構造が複雑化し、ますます混迷を深める現代社会。次世代を担う若者を育成する大学には、どのような教育機能が求められるのか。昭和女子大学の坂東眞理子理事長にお話をうかがった。
坂東眞理子 (ばんどう・まりこ)
学校法人昭和女子大学理事長 1969年東京大学卒業、総理府入省。95年埼玉県副知事、98年ブリスベン総領事、01年内閣府男女共同参画局長。04年昭和女子大学・女性文化研究所長、07年学長、14年4月から現職。著書『女性の品格』他著書40冊以上。

大学教育の「質の保証」を重視する方向への転換

学生にきちんと「付加価値」をつける

いま日本では、少子高齢化が急速に進行しています。とくに2018年度以降は、18歳人口の減少がもう一段階進むため、生き残れない大学が出てくるという悲観的な見方があります。ただし、OECDの他の加盟国と比較すると、日本の大学進学率はまだ低めであり、国際競争力を向上させるためには、国家戦略として大学進学率の上昇に取り組む必要があるという意見もあります。

そのためには、当然、大学をもっと魅力的な場にしていくことが大切になります。そこで、中教審で議論されているのが大学教育の「質の保証」です。これまでの大学は、学生一人あたりの校地・校舎面積や教員数など、計量可能な外形的基準だけで認可を受けていました。教員数や環境が整っていれば、良質な教育が実現できるはずだという考え方です。それがいま、学生にきちんと「付加価値」をつけることができているのか、教育の質を問おうという方向に転換しつつあるのです。しかしこれは難しい。

たとえば、英語力ならばTOEICのスコアなど、あるいは資格試験の合格率などは、分かりやすい質の保証になります。問題になるのが、創造力、イノベーションに挑戦する力、社会に貢献できる力など、まさに現代社会で強く求められる力に関しては、数値化が難しく、示しにくいということです。大学入学後、それらの力がどのように伸びたのか、可視化する方法を考えることが、今後の大学の課題です。

次ページグローバル化の進行で英語力の向上が不可欠に