小野薬品工業

革新的新薬の創製を推進力にグローバル市場を見据える

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一方で、自社の研究開発体制の強化も着々と進められている。具体的には、大阪府の水無瀬研究所、福井県にある福井研究所、茨城県の筑波研究所の三極体制で研究開発を進めているが、水無瀬研究所に新たな研究棟を増設し、研究体制を強化するとともに、三拠点の有機的な連携を図るため、部門の再編にも取り組んでいる。

スピードを重視する海外展開

続いて相良氏が成長戦略の一つに掲げたのが、「海外展開の推進」だ。医薬品のメガマーケットであるアメリカ・ヨーロッパでは、提携企業へのライセンスアウトによって早期上市を狙う戦略を取ろうとしている。欧米はマーケットが大きい分、大規模臨床試験や、認可後に数千人規模でMRを投入することなどが必要となるため、リスクも大きい。そのため、強力な販売パートナーを確保するため、アメリカに4名、イギリスに2名の社員を配置している。

いずれは欧米での自社販売にも挑戦したいという相良氏は、「ニッチな市場で勝負できるユニークで競争力の高い医薬品の開発に成功した時こそがチャンスだと思っています」と機が熟するのを待ちつつ、成長著しいアジアに目を向け、韓国や台湾に加え、中国、アセアンでも自社販売を目指していく。さらにグローバルに打って出ていくためには、屋台骨となる企業基盤を確固としたものにしておく必要がある。それが三つ目の戦略だ。

今後の国内でのがん領域の医薬品販売の拡大を見越して、15年、オンコロジー領域専門のMRを30名から一気に180名に拡大。「これまでの6倍となる体制で存在感を強めていく」と相良氏は強気だ。

そればかりではない。積極的に海外に送り出す予定の研究員に限らず、MRについても「世界中どこに行ってもリーダーシップが発揮できるような胆力のある社員を育成していきたい」と相良氏。女性活躍支援や多様性向上、組織に刺激を与えるキャリア採用推進など、人材の育成と活性化に注力している。

Dedicated to Man's Fight against Disease and Pain.水無瀬研究所にある「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念の石碑(上)。
本社エントランスにある医薬品の構造式のオブジェも小野薬品工業のユニークさを象徴している

大きく飛躍を遂げようとしている小野薬品工業だが、その先に何を見据えているのだろうか。

「今後も継続的にイノベーションを創出し、世界に新薬を提供し続けていくことが、大前提。グローバル市場では、当社の規模はまだバイオベンチャーに過ぎません。しかしいずれは医薬品の『質』で世界トップクラスの製薬企業として認知されるようになりたい」と、相良氏の目指す企業像は明確だ。

「今後も社会にとって価値ある企業であるために、医薬品を通じて、『健康』を届けることで社会的使命を果たしていきたい」

17年に創業300年を数える小野薬品工業。その歩みはさらに続いていきそうだ。

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