小野薬品工業

革新的新薬の創製を推進力にグローバル市場を見据える

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がん免疫療法薬は、アメリカのバイオファーマ企業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と提携契約を結び、すでに欧米市場での売り上げも加速している。一方、日本、韓国、台湾では自社で市場開拓に挑む。BMSとタッグを組むことでグローバルでの開発・販売力を確保しつつ、アジアでの存在感を高めようというわけだ。

このがん免疫療法薬の価値を最大化できれば、トップラインの向上につなげることができる。「しかし私どもの狙いは、売り上げ増大による企業規模の拡大だけではありません」と相良氏は続ける。「現在、売上高に対する研究開発費の占める割合は30%を超えています。それでも厳しい競争を闘い抜くには十分な金額とは言えません。これから売り上げが増大すれば、今後より大きな金額を研究開発に投資し続けることが可能になります。いわば、将来にわたってイノベーションを起こし続けるためのドライバーにしていかなくてはなりません」。

成長戦略を支える研究開発力の強化

追い風の中にある小野薬品工業は、今こそ飛躍の好機と見て次の成長戦略を描いている。「フォーカスしているのは、『開発パイプラインの拡充』と『海外展開の推進』、そして『企業基盤の強化』の三つです」と相良氏。

まず継続的に新薬を上市していくための「開発パイプラインの拡充」で、ターゲットに見据えているのは、がん領域だ。がん免疫療法薬を主軸にその支持療法など周辺領域を含めた開発パイプラインを充実させていくという。それに加えて小野薬品工業が強みとしてきた糖尿病領域、さらには多様な領域の創薬シーズの導入も含めて拡充させる。

水無瀬研究所には新研究棟を増設。これからも、化合物オリエントが磨かれていくのだろう。一方、研究員が活躍する舞台は世界に広がっていく。新薬開発に特化したビジネスモデルの次なる成果に、期待が集まる

また相良氏は、研究開発力をいっそう高めるためにこれまで培ってきた「オープン・イノベーションの強化」にも力を注ぐ。オープン・イノベーションによる創薬の成否は、いかに有望なパートナーと手を組めるかにかかっていると言えるだろう。実際、有力な研究機関が世界中のファーマの争奪の的となることも珍しくないという。目利き力とスピードが重要な役割を果たす環境にあって、小野薬品工業はアメリカに5名、イギリスに4名の専門の社員を配置し、現地に腰を据えて欧米の有力な大学や研究機関との提携を推進している。

「これまでに欧米で数千社以上のバイオベンチャーを調べています。現地の社員からの報告は、担当役員、さらに私へと迅速に届けられます。トップまでの距離が近く、意思決定が速いことが、パートナーシップの成功確率を高めると信じています」と相良氏。共同研究を行う各研究機関に派遣する研究員数も、現在の30名程度から16年には50名程度に増員することを計画している。

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