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革新的新薬の創製を推進力にグローバル市場を見据える 小野薬品工業

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
新薬創製の成功確率が低下していると言われる医薬品業界にあって、新薬ビジネスに特化して存在感を示している小野薬品工業。その成長を支えているのが独自の創薬手法とオープン・イノベーションによる研究開発力だ。2016年3月には、大阪の水無瀬研究所に研究棟を増設し、新たな体制で創薬にチャレンジする。これからの研究開発戦略、さらにはグローバルマーケットを視野に入れた成長戦略に注目が集まる。

新薬開発に特化し競争力を堅持

医薬品業界では年々新薬が生まれにくくなっている。新薬創製の成功確率はいまや3万分の1とも言われる一方で、研究開発コストは増大の一途をたどっているという。加えて薬価引き下げやジェネリック医薬品の浸透によって長期収載品からの収益は圧迫されていく。医薬品メーカーが新薬開発を続けていくのは容易なことではない。

代表取締役社長
相良 暁

そうした中にあって小野薬品工業は、ジェネリック医薬品や一般用医薬品へは参入せず、新薬ビジネスに特化する経営方針を貫き続けている。相良暁代表取締役社長の見解は明快だ。「限られた経営資源を分散させるよりも新薬開発に集中させる方が、競争力を堅持できると考えてのことです」。

もちろん、そうした戦略を選択するだけの基盤がある。つまり、小野薬品工業には新薬開発への特化を可能にする強力な武器があるのだ。それがユニークな化合物ライブラリーと、ライブラリーを活用する「化合物オリエント」という独自の創薬手法である。

小野薬品工業は創業から約300年もの歴史を誇る老舗製薬会社だが、新薬メーカーとしての地歩を確かなものにしたのは1960年代のことだ。プロスタグランジンと呼ばれる生理活性脂質に注目し、企業として世界で初めてプロスタグランジンの全化学合成に成功。脂質領域で複数の新薬を上市し、金融資産4000億円を超える企業に成長を遂げた。しかも、この研究開発で貴重な財産を手に入れることとなる。化学合成の過程で生み出した数々の脂質化合物だ。「製薬メーカーはそれぞれ独自の化合物ライブラリーを持っていますが、私どもの豊富な脂質化合物が競争力の源泉にもなっているのです」と相良氏は明かす。

多彩な化合物ライブラリーに蓄積した脂質化合物の中からユニークな作用を見つけ出し、創薬につなげるのが「化合物オリエント」の手法である。メカニズムの解明されていない化合物は、宝の山とも言える。新たな作用を発見できれば、これまでにない革新的な新薬を創製できる可能性が高まることに加えて、スピーディな開発に寄与できる。

一方で、「自社だけの開発にはこだわらない」と冷静に見定め、早くから国内外の大学や研究機関との共同研究で新薬を生み出すオープン・イノベーションに取り組んできたことも、強みとなっている。「世界最先端の知見を持つ大学や研究機関に自社の研究員を派遣して共同研究を行うことで、ほかに例を見ないような創薬に挑戦できます。先端領域の研究に取り組む一方で、どれほど失敗を繰り返しても愚直に、粘り強く取り組む姿勢が受け継がれています。そうした企業文化を持っていることが、当社の真骨頂」と相良氏。実際、小野薬品工業は、2014年、新たなメカニズムのがん免疫療法薬(一般名「ニボルマブ」)の実用化を達成する。

がん免疫療法薬は、アメリカのバイオファーマ企業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)と提携契約を結び、すでに欧米市場での売り上げも加速している。一方、日本、韓国、台湾では自社で市場開拓に挑む。BMSとタッグを組むことでグローバルでの開発・販売力を確保しつつ、アジアでの存在感を高めようというわけだ。

このがん免疫療法薬の価値を最大化できれば、トップラインの向上につなげることができる。「しかし私どもの狙いは、売り上げ増大による企業規模の拡大だけではありません」と相良氏は続ける。「現在、売上高に対する研究開発費の占める割合は30%を超えています。それでも厳しい競争を闘い抜くには十分な金額とは言えません。これから売り上げが増大すれば、今後より大きな金額を研究開発に投資し続けることが可能になります。いわば、将来にわたってイノベーションを起こし続けるためのドライバーにしていかなくてはなりません」。

成長戦略を支える研究開発力の強化

追い風の中にある小野薬品工業は、今こそ飛躍の好機と見て次の成長戦略を描いている。「フォーカスしているのは、『開発パイプラインの拡充』と『海外展開の推進』、そして『企業基盤の強化』の三つです」と相良氏。

まず継続的に新薬を上市していくための「開発パイプラインの拡充」で、ターゲットに見据えているのは、がん領域だ。がん免疫療法薬を主軸にその支持療法など周辺領域を含めた開発パイプラインを充実させていくという。それに加えて小野薬品工業が強みとしてきた糖尿病領域、さらには多様な領域の創薬シーズの導入も含めて拡充させる。

水無瀬研究所には新研究棟を増設。これからも、化合物オリエントが磨かれていくのだろう。一方、研究員が活躍する舞台は世界に広がっていく。新薬開発に特化したビジネスモデルの次なる成果に、期待が集まる

また相良氏は、研究開発力をいっそう高めるためにこれまで培ってきた「オープン・イノベーションの強化」にも力を注ぐ。オープン・イノベーションによる創薬の成否は、いかに有望なパートナーと手を組めるかにかかっていると言えるだろう。実際、有力な研究機関が世界中のファーマの争奪の的となることも珍しくないという。目利き力とスピードが重要な役割を果たす環境にあって、小野薬品工業はアメリカに5名、イギリスに4名の専門の社員を配置し、現地に腰を据えて欧米の有力な大学や研究機関との提携を推進している。

「これまでに欧米で数千社以上のバイオベンチャーを調べています。現地の社員からの報告は、担当役員、さらに私へと迅速に届けられます。トップまでの距離が近く、意思決定が速いことが、パートナーシップの成功確率を高めると信じています」と相良氏。共同研究を行う各研究機関に派遣する研究員数も、現在の30名程度から16年には50名程度に増員することを計画している。

一方で、自社の研究開発体制の強化も着々と進められている。具体的には、大阪府の水無瀬研究所、福井県にある福井研究所、茨城県の筑波研究所の三極体制で研究開発を進めているが、水無瀬研究所に新たな研究棟を増設し、研究体制を強化するとともに、三拠点の有機的な連携を図るため、部門の再編にも取り組んでいる。

スピードを重視する海外展開

続いて相良氏が成長戦略の一つに掲げたのが、「海外展開の推進」だ。医薬品のメガマーケットであるアメリカ・ヨーロッパでは、提携企業へのライセンスアウトによって早期上市を狙う戦略を取ろうとしている。欧米はマーケットが大きい分、大規模臨床試験や、認可後に数千人規模でMRを投入することなどが必要となるため、リスクも大きい。そのため、強力な販売パートナーを確保するため、アメリカに4名、イギリスに2名の社員を配置している。

いずれは欧米での自社販売にも挑戦したいという相良氏は、「ニッチな市場で勝負できるユニークで競争力の高い医薬品の開発に成功した時こそがチャンスだと思っています」と機が熟するのを待ちつつ、成長著しいアジアに目を向け、韓国や台湾に加え、中国、アセアンでも自社販売を目指していく。さらにグローバルに打って出ていくためには、屋台骨となる企業基盤を確固としたものにしておく必要がある。それが三つ目の戦略だ。

今後の国内でのがん領域の医薬品販売の拡大を見越して、15年、オンコロジー領域専門のMRを30名から一気に180名に拡大。「これまでの6倍となる体制で存在感を強めていく」と相良氏は強気だ。

そればかりではない。積極的に海外に送り出す予定の研究員に限らず、MRについても「世界中どこに行ってもリーダーシップが発揮できるような胆力のある社員を育成していきたい」と相良氏。女性活躍支援や多様性向上、組織に刺激を与えるキャリア採用推進など、人材の育成と活性化に注力している。

Dedicated to Man's Fight against Disease and Pain.水無瀬研究所にある「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念の石碑(上)。
本社エントランスにある医薬品の構造式のオブジェも小野薬品工業のユニークさを象徴している

大きく飛躍を遂げようとしている小野薬品工業だが、その先に何を見据えているのだろうか。

「今後も継続的にイノベーションを創出し、世界に新薬を提供し続けていくことが、大前提。グローバル市場では、当社の規模はまだバイオベンチャーに過ぎません。しかしいずれは医薬品の『質』で世界トップクラスの製薬企業として認知されるようになりたい」と、相良氏の目指す企業像は明確だ。

「今後も社会にとって価値ある企業であるために、医薬品を通じて、『健康』を届けることで社会的使命を果たしていきたい」

17年に創業300年を数える小野薬品工業。その歩みはさらに続いていきそうだ。