木本:志は「しっかり吟味して待ったをかけよう」でも、結局こなすだけが現状になってしまったわけですね。
御厨:参議院に242人という数が必要なのかも議論の的です。
木本:何だったら半分でもいいということですか。
御厨:そう、半分でもいいでしょうね。戦前と違って指名によって議員になることはできません、民主主義ですから。でも与野党で話し合って、「参議院はこういう人に出てほしいよね」というのをあらかじめ決めて選ぶというのは、できるはずです。たとえば50人の方が、しっかりと「これはやりすぎ」とか議論するのであれば、存在意義があるでしょう。衆議院ではめったに待ったはかからないけれども引っかかりがあったときには参議院でじっくり考える、というのがいい。
木本:50人だったら多くないですね。
御厨:かつて参議院では職能代表、法人組織がまとまりをつくってそこから出すという議論はありました。でも、どの団体から出すのか、線引きが難しい。そのためデッドロックになりました。衆議院は地域ごとに選ぶことになっている。それをタテ串とするなら、参議院はヨコ串でいこうと言う話はずっとある。ただ、地域は強引に割ってでも選挙区はできるけど、職能団体などの場合には簡単に線引きできない。
木本:アメリカも2院制ですよね。
御厨:アメリカは連邦なので州の代表が上院で、下院は人口に応じて割り振られています。日本だって道州制のような広域行政ができれば変わっていく可能性はありますが、今の都道府県制では変えようがないんです。
選挙制度に正解はない
木本:小選挙区が問題になっているという話もよく聞きますが。
御厨:中選挙区、小選挙区、比例代表とありますが、何がいちばんいいかは、誰にもわからない。僕はいつも言うのですが、正しいものはない。客観的、合理的にこれがいちばん優れているという制度はない。今の制度が絶対に正しいとは断言できないから、つねに変えようとする議論はあるわけです。政治の中で選挙区ぐらい難しいものはない。
木本:こんど、18歳から選挙で投票できるようになりましたね。
御厨:あれは全党一致で通した法案なんですが、政党はホントに楽観的だと思う。共産党から自民党まで、みんなが新しく生まれる若い選挙民が自分のところに投票すると思っているんですね。
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