日米同盟強化と対中関係改善は両立できるか

2016年は日本外交の構想力と実力が試される

習主席は「新型大国関係」に繰り返し言及するが、オバマ大統領はもはやこの言葉を口にしない(写真は2015年9月25日ホワイトハウスでの共同記者会見:Landov/アフロ)

日本の外交・安全保障政策に、決定的な影響を及ぼす米中関係は、2015年を通じて悪化の一途をたどった。不信感も深まった。

原因は大きく分けると2つある。一つは米オバマ政権の対中政策が、政権発足当初から「関与」重視と「抑止」重視の間で揺れ動いていることだ。今は「抑止」に振れている。もう一つは中国の対米政策の行き詰まりだ。米国との衝突を、いわゆる「新型大国関係」の構築で回避しようという構想を打ち出したが、米国が背を向けてしまった。実現の見通しが事実上消えたのに「看板」を下ろせないでいる。米中双方の抱える問題で、両国関係は空回りが続いている。

「関与」か「抑止」が、定まらぬ米国の対中戦略

オバマ政権は2009年の政権発足当初、「関与」重視でスタートした。スタインバーグ国務副長官(当時)が主張した”Strategic Reassurance” (戦略的再保証)がその象徴だ。スタインバーグ氏は、「不信の原因に取り組む一方で、共通利益の分野を強化する」と説明した。党派を問わず、過去の多くの米政権が、中国に厳しい立場からスタートしたのとは明らかに異なっていた。

しかし、この野心的コンセプトは政権に正式に認知もされないまま、立ち消えになった。2009年12月にコペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で、中国が予想を超える強硬姿勢を見せたことや、2010年9月には尖閣諸島周辺で、中国の漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突したことなど、中国の高圧的な態度が目立つようになったからだ。中国に足もとを見られた、との見方が広まった。

スタインバーグ氏が政権から退くと、2011年10月には、クリントン国務長官(当時)が、外交評論誌 "Foreign Policy" に寄せた論文で、"pivot" 後に "rebalance" と呼ばれるようになった「アジア回帰」政策を打ち出した。10年に及んだテロとの戦いに一応の区切りがついたことを受けて、アジア重視の姿勢を改めて打ち出すことに主眼があったが、中国はこれを「封じ込め策」と受け止めた。米国側は、「中国を標的にしたものではない」と今に至るまで繰り返しているが、不信は払拭できていない。この新戦略を推し進めた政権幹部の間に、「封じ込め」ではないにしろ、対中政策を「抑止」重視に方向転換しようという意図があったことは事実だ。

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