我らはいつクリスマスの「本質」を忘れたのか クリスマスこそ多様性を受け入れよう

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(写真:RCameraman/PIXTA)

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秋の半ばからクリスマスが近づいてきたと感じる。念のために言っておくと、現在ではブラックフライデーがある。これは米国からもたらされたもので、その時期に人々はクリスマス気分で出来うる限りの買い物をする。

私の古い考え方からすると、「神が商売人に幸福を与える」日であるとの見方には賛同しかねる。いつの間にやら、11月の早い時期からクリスマスを楽しむようになったが、私が子供の頃、クリスマスはその前日の12月24日にやって来るものだった。

皆で夜中のミサに参列して、父が迎えに来てくれた。翌朝目を覚ますとプレゼントを開け、昼食のターキーを用意する。クリスマスの翌日は冷めたターキーとハムに迎えられる公休日であり、12月27日は平日に戻る。これがすべてだ。次のクリスマスは翌年の12月24日からだ。

商業主義ここに極まれり

最近では、キリスト教徒であろうとなかろうと、イエス・キリストの誕生を記念するどんちゃん騒ぎや巨大商戦に見舞われる。もちろん、クリスマスの商業的な側面は以前からあるが、それは養鶏業者やグリーティングカード業者にとってだけだった。だが現在、多くの国では、キリスト教徒が少数派だったとしても、休日や度の過ぎた楽しみのもとになっている。

このイベントを象徴するものが非常に複雑な場合がある。東京のデパートではその時期の到来を客に示すため、エントランスホールに巨大な十字に架けられたサンタクロースが吊るされるという。作り話かもしれないが、こんな話があると、真冬の宗教的行事は文化的な錯綜につながるものだなと感じる。新約聖書で読んだのは、現在はイスラエル国防軍が有刺鉄線で囲んでいるベツレヘムの馬小屋までの長い道のりのすべての話なのだが。

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