日本IBM「社外秘リストラマニュアル」の全貌 用意周到な人員整理に働く側は対抗できるか

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強制的、強迫的言動を面談で行うことは、裁判で敗訴する可能性を招くとして厳禁。NG発言の具体例としては、「君の席はない」「辞めなければ遠隔地転勤させるぞ」「無駄飯を食わせる余裕はない」といったものが列挙されている。さらに、対象者以外の他人の話をすることも、「泥沼化を招く」として、こちらも厳禁とされている。

そして、対象者の性格をタイプ別に類型化し、大まかな対応方針を示している。これを見ると、退職勧奨を告げられた人々の反応は、本当に十人十色だ。

「理屈型」には会社も苦労している

 従順型:内面では、色々な葛藤があるので、十分話を聞き、受容する。その上で、こちらの考えを述べる。

プライド型:周囲の者達が見ている客観的事実に焦点を当て説明をする。

何でもやらせてもらいます型:その余裕もないことを説明する。気持ちは受け止めるが、残念ながら、その可能性がないことを指摘する。

理屈型:説得材料があれば繰り返し説明する。難しければ、「次回に」として立て直して再度試みる。

愚痴型:しばらく聞く姿勢。相手が繰り返しになったら、「こういうことですね」と対応。

沈黙型・馬耳東風型:「不明な点は質問して下さい」「是非考えてみてください」を繰り返す。「次回に意向を聞かせてください」と日時を具体的に約束するのも一方法。

泣き型:落ち着くまで待つ。いったん席を外す。会社の意向を明確に伝えて、「次回に意向を聞かせてください」と日時を具体的に約束する。

感情型・怒り型:ひたすら話しを聞いて受容する姿勢を示す。相手の言うことが支離滅裂な場合には、こういうことでしょうかと要約して尋ねて整理をしてやり、落ち着くのを待つ。

「プライド型」には周囲からの目線を気にさせる。「泣き型・怒り型」など感情を表に出すタイプには、話を聴いて受容する姿勢を示す。「沈黙型」には現実的な期限を設けて考えさせる。人を動かす戦略をきちんと考えている様が窺える。ただ、「理屈型」には明確な対応法が書いておらず、会社としても苦労するようだ。

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