求人票に書かれていた条件を信じて入社を決めたら、実際は不利な労働条件だった。こんな経験をした人は多いのではないか。あまりにもこうしたケースが多すぎて、人々はもはや「世の中はそんなもの」「求人票に本当の条件は書かれていない」とすら、考えてしまっているかもしれない。
最近の労働問題で、新たなトピックとなっているキーワードは「求人詐欺」だ。法律上は虚偽の求人で人を集めることは禁止されているのだが、野放しになっている現状がある。
なぜ「求人詐欺」は野放しになっているのだろうか。
求人票と契約書が異なることを悪用
結論をひとことで言うと「求人票と契約書は別のものだから」だ。「求人票」は、あくまで、「人材募集のために労働条件を記した情報」に過ぎない。実際にどういった条件で働くかを決める契約は、入社が内定したあとに「契約書」を交わすことによって決まる。この求人票と契約書の違いを悪用し、労働者を惑わそうとする企業は後を絶たないのである。
NPO法人POSSE代表で『求人詐欺-内定後の落とし穴』の著書がある今野晴貴氏は「日本では、求人票に嘘を書いて人を集めても、誰にも取り締まられない。団塊の世代がリタイヤし、少子化も進んでいることで、昨今は人手不足の傾向が顕著。こうした状況の中、求人詐欺は激増している」と語る。
一体、どのような事例があるのだろうか。
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