以下の求人票は、エステ業界専門の求人サイトで「プレミアム優良求人」として掲載されていたものだ。
年齢 不問
( 研修期間あり )
※経験、資格を考慮し、優遇いたします。 ※経験者 大歓迎!
※未経験者 OK!
この求人票を見て応募したAさん(仮名・女性)は、その条件の良さに惹かれて、面接に行くことにした。すると、採用担当者からは「最初は、基本給は15万円」だと伝えられたという。そもそも求人票には最低でも18万円と明記されていたはずだが、これは虚偽だったのだ。しかし、Aさんは、「下積みの間はこんなものなのかな。給与もすぐ求人通りの基本給18万円に上がるだろう」と考え、契約書にサインした。
ところが、研修が始まると、いきなり話が違った。朝10時から20時前後まで拘束され、求人票にうたわれていた「実働8時間」の約束は裏切られる。さらに、研修期間が終了すると朝9時半頃から夜の22~23時頃までの勤務が当たり前となり、実働労働時間は1日12時間以上に及んだ。
求人票に書かれた月給は、最後までウソ
給料も、理由もなく減額された15万円からいっこうに上がる気配がなく、また、月給に加算されるように求人票に記載されていた、個人歩合や技術手当などがつくこともない。さらに、休憩時間などないのに、1時間分の時間が引かれているといった、給料の不払いまであった。こうした状況から5カ月後、Aさんは体調を崩して、結局退職に追い込まれてしまったという。
エステの業務は、客との1対1の接客を求められるため、従業員の「シフト」も、その日に来る客の数や都合に大きく左右されることになる。予約が詰まっていれば、休みなく対応する必要が出てくるし、片付けなども人数に比例して増えるため、業務量は膨らんでしまう。そもそも、会社が意識して勤怠管理を行わなければ、最初から「実働8時間」などという条件は難しいものなのだ。
こうした過酷な職場環境であるがゆえに、エステ業界は離職率が高く、常に人手不足の状態。しかし「来客数によっては実働12時間になることもあります」「手当は制度としては存在しますが、簡単にはつきません」といった真実を書いてしまえば、応募する人は誰もいなくなってしまうだろう。そこで、こうしたウソが山盛りにされた求人票を出して、とにかく人を呼び込むことに躍起になっているというわけである。
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