日本農業は、やっと大規模農家が主役になる 注目の全国大会開催!真価問われる新生JA

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牛肉は現在38.5%の関税が段階的に削減され、16年目以降は9%になるが、輸入が急増した場合に関税を引き上げるセーフガードが導入され、影響を緩和する措置が採られた。豚肉も同様に基本的な関税の枠組みは保持し、長期間かけて関税を下げていき、セーフガードも一定期間は設けられることになった。

つまり、コメはほぼ無傷と言っていい結果となり、牛・豚肉は「交渉で勝利した」とは言えないものの、それなりの対策期間を得ることに成功した。

実際、あるJAグループの幹部は、先のJA全中会長コメントとは裏腹に「日本政府はよく頑張った」と述べる。「コメは直ちに需給に影響しないし、牛肉や豚肉も関税削減に十分な時間を取っている」と分析していた。TPP関連法案が国会に提出されれば、おそらく国会決議との兼ね合いが議論になるが、結局は通過することになるだろう。

政府がTPP総合対策本部立ち上げ

JAグループをはじめ、各種団体から対策を求める声が相次ぎ、政府は10月9日にTPP総合対策本部を立ち上げて、農林水産業者の不安を取り除くための対策策定に着手した。

先のJA全中会長コメントにも「全国の農業者の声をきちんと聞き取り、さらには消費者の声にも十分配慮し、政策提言を行ってまいる」とある。政策提言とはつまり要望だ。

しかし、JAグループは政府に対策を要求するだけでいいのだろうか。要望しかしないのであれば、今年春頃の農協改革以前のJA全中、そしてJAグループと変わらない。

JAグループには、自らが先頭に立って組合員農家、そして日本農業の構造改革を進めていくという気概と具体策がまず必要だ。現場が先頭に立ってTPPから農家を守り、農業の体質を強化する姿勢で臨まなければ、政府がいくら対策を打っても、効果は限られたものになってしまうからだ。

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