アンテナが「ハフポ」との契約を止めた理由 メディアを「質」で選別する時代が始まった
スマホアプリを中心とした女性向けファッション・グルメ情報に強いキュレーションマガジン「Antenna(アンテナ)」を運営するグライダーアソシエイツ(本社・東京都港区)は10月1日、アプリの全面リニューアルを実施。併せて、劇薬ともいえるような方針転換を行った。
ユーザーの嗜好に合わせてページのカスタマイズを可能にするなどアプリそのものの機能強化が、ユーザーインターフェース(UI)上では最大の変化だ。欲しい情報に関するキーワード、ジャンルなどを登録しておくと、その記事が配信されるたびにマイリストに蓄えられる。また位置情報を活用することで、地域情報をスムーズに獲得できる機能も加わった。
ハフィントンポスト、TABI LABOなどとの契約を解除
しかし、価値ある情報にたどり着くためには、そもそもプールされている記事に価値がなければ意味がない。そこで、同社が実施したのが「ユーザーが欲しい情報を提供しているメディア」の絞り込みだ。リニューアルに合わせて提携メディア数(音楽会社などのコンテンツパートナーを除く)を約400から約250に削減。具体的には「ハフィントンポスト」「TABI LABO」などの最新記事は、アンテナに表示されなくなった。
アンテナに表示されなくなったのは、「本質的に自分たちで(取り上げる記事の対象を直接)取材していないメディア」(グライダーアソシエイツの杉本哲哉社長)が配信している記事。他サイトで流行っている記事の主要部分をコピーすることで記事を量産したり、元記事にある広告への誘導を主目的として記事を配信したりしているようなメディアだ。
これはウェブメディア界の転換点といえるかもしれない。この2~3年で台頭してきたスマートニュース(SmartNews)、グノシー(Gunosy)など多くのキュレーションメディアは、さまざまなウェブメディアと提携し、記事を受け入れてきた。その間、明らかに"質よりも量"を競う時代が続いていたと言わざるを得ない。今回のアンテナの決断は、明確にその流れを切り替えたといえるからだ。
8月にはヤフーが記事と偽って広告を配信しているメディアとの契約を解除したことで話題になったが、今回のアンテナの決断は、それよりもさらに踏み込んだものといえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら