創業15年、「アイティメディア」が進む道

老舗ネット企業が利益を出し続ける理由

絶好調の「ねとらぼ」は3月に5000万PVを達成。モバイル広告を伸ばす手段として、大槻社長が自ら特別会議を開き、運営にかかわるほど期待のメディアだ(撮影:吉野純治)

月間PV(サイト閲覧数)はトータルで1億3000万。最新のテクノロジー動向から、家電、システム導入、ビジネス、ネット上の話題まで、30もの専門メディアを手掛けるアイティメディア。同社はソフトバンクが1995年に買収したコンピュータ系の出版社、ジフ・デービスのITニュースサイト「ZDNet」がルーツだ。1999年12月にソフトバンクの出版部門から独立し、それ以降、ネットメディアとして15年の歴史を持つ。

同社は創業当初から広告モデルに特化し、現在も売上高の9割超が広告収入だ。ターゲティング広告(ユーザーの興味関心に合った広告を配信する)などの伸長や事業買収、既存メディアの再構築など積極的な新戦略で、今期の業績計画は売上高42億円、営業益6.4億円と最高益更新を見据えている。新興メディアが次々と生まれる中、老舗メディアは何を目指すのか。

「アイティメディアは中期でどう成長するんだ?」。リーマンショックのあおりを受け、赤字に苦しんでいた5年前。ソフトバンク・孫正義社長は大槻利樹社長に詰め寄った。大槻社長はかつて孫社長の秘書を5年半務めた愛弟子。生半可な答えが通用しないことは誰よりも知っている。大槻社長はこう答えた。「テックターゲットを伸ばして、会社を成長させます」。

記事閲覧には名刺情報の登録が必要

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会員サイトゆえに、IT部門の担当者に直接広告を打てることが強み

2006年に始めた「テックターゲット」(会員数28万人)は企業のIT製品やサービス情報を提供する会員制サイト。製品を購入する可能性のある顧客のリストを作成して活用する「リードジェネレーション」モデルが特徴だ。大槻社長は同分野の成長に執念を燃やしている。テックターゲットのユーザーは企業のシステム部門の担当者。記事閲覧には勤務先や部署名など、名刺情報の登録と情報の利用に関する承認が必須だ。

会員がどんな記事やコンテンツを閲覧し、どの分野に興味を持っているのかといったデータを基に、広告主に見込み顧客のリストを提供したり、コンサルする。広告主は狙ったユーザーに的確にアプローチできるため、広告の効果は高い。リーマンショック以降、より効率性を求める広告主が増えたことや、アイティメディアもデータの分析や活用が進んだことで、テックターゲットは業績の牽引役となっている。

リードジェネレーションを強化すべく、アイティメディアは攻勢に出た。4月にIT製品の選定サイト「キーマンズネット」(会員数32万人、昨年の売上高10億円)をリクルートから買収したのだ。孫社長に詰め寄られた5年前からラブコールを送り続け、ようやく口説き落とした。「最初はけんもほろろだったが、日本電産の永守重信社長の講演で10年かけて会社を買収したという話を聞き、まだまだと思ってやってきた」(常務取締役の小林教至氏) 

キーマンズネットはカタログを見るように、オフィス機器、サーバー、ストレージなど、ジャンルごとに製品やサービスをチェックできる。テックターゲットと同様、コンテンツの閲覧には名刺情報の登録が必要だ。こうしたカタログ型の広告のほか、ユーザーそれぞれの興味関心に合った記事広告をメールで配信する。1996年にサービスを開始し、当初は独占状態だったが「テックターゲットなどとの競争が激化し、広告主の要求も高まる中で厳しい状況だった」(キーマンズネット事業部長の小林洋氏)。

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