アンテナが「ハフポ」との契約を止めた理由 メディアを「質」で選別する時代が始まった

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アンテナは、いったい何を基準に提携メディアの絞り込みを行ったのか。杉本社長は「7月以降、30ほどの指標を設けて提携メディアにスコアを付けていった。その結果、問題があると判断したサイトについては契約解除を申し入れた」という。

「他社の記事をコピーするようなメディアの記事を拡散させることは、そうした行為の片棒をかつぐことに等しい。これへの問題意識は社内にずっとあった。影響の大きさも考えて逡巡もあったが、今回、きちんとやることを決めた」

スコアリングに当たっては、2012年5月のサービス開始からこれまでに蓄積されたビッグデータ、さらに杉本氏が創業したマクロミルで培ったデータ解析のノウハウも活用したという。

画像のオリジナリティを重視

アンテナはビジュアルを重視したアプリ。そのため、記事内容のオリジナリティだけでなく、重要な評価項目としたのが、画像や動画のオリジナリティだ。「フリー画像を使用している、会社が提供する宣材に頼っている、フェイスブックなどから無許可に借用している、という例が非常に多い。スコアリングに当たっては、それぞれ減点の対象にした」。

その結果、残った250のメディアのうち100%オリジナルの画像を使用しているメディアの数が全体の40%、半分以上オリジナル画像を使用しているところが45%になったという。残り15%には、オリジナル画像比率は低いものの、記事には独自性があるため契約を続けるオールアバウト(AllAbout)などがある。

グライダーアソシエイツの杉本哲哉社長は「染みついているカルチャーは直らない」という

結果として、残った250メディアのうち、7割近くが雑誌、書籍、テレビ局などウェブ以外のメディアを持っているところだ。とはいえ、個人が運営するようなメディア、企業が運営するオウンドメディアも多数残っており、老舗メディアを優遇したわけではない。

契約解除の通告はどのように行ったのか。「アンテナはすべてのメディアと配信契約を結んでいる。紙の契約文書があるのでそれに則って話を進めていった。メディア側からは『問題があれば修正するので契約を続けたい』という声もあったが、これは染みついているカルチャーであって簡単には直らない。反発があることは覚悟の上でこちらの方針を貫かせてもらった」(杉本社長)。

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