東芝の不正会計、半導体で行われていたこと

工業会計のプロが図表入りで徹底解説

東芝の不正会計事件では、当初に発覚した工事進行基準の手口ばかりが注目を集めているが、それをしのぐ金額の不正会計が行われたにもかかわらず、パソコン事業と半導体事業ではどんなカラクリで不正が行われたのかが正確に伝わっていない。どちらの不正会計も在庫の積み増しを用いた古典的な粉飾決算の延長ともいえる手口で不正が行われた。

ここでは、やや専門的になるが半導体事業の不正会計に絞って解説しよう。まず、在庫の積み増しを用いた古典的な手法についての説明が必要だろう。

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期末在庫を増やすと利益が増える

工業会計では、工場で製品を作ったときにかかった製造経費(労務費、設備費用など)を、その期に売った製品の売上原価と期末に残った在庫品の製造原価に配賦(配分)して計算する。工場の製造経費は一定なので、期末の製品在庫高(金額)が増えると、売上製品に配賦される売上原価は減ることになる。

利益は売上高から売上原価を引いたものなので、売上原価が減れば利益は増える。在庫金額が増えると原価が減り、利益が増える。

半導体では前工程と後工程の在庫を悪用

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期末に前倒し生産して在庫品を貯めるメーカーが存在するのは、こうした計算ができるからだ。さらに、実際に在庫品を作らず、見かけ上の期末在庫金額を増やすだけでも利益は増える。在庫操作は古典的な粉飾決算の手口で、これが原型となり、東芝ではPC事業や半導体で不正会計がなされた。

半導体事業の不正会計も基本は、筆者が東洋経済9月26日号(19日発売)に書いた、在庫を用いたPC事業と同じ構図だが、こちらの処理内容は少し複雑である。半導体の製造工程は前工程と後工程の2工程に分かれており、工程の間に中間品在庫が発生する。半導体事業では期末製品在庫ではなく中間品在庫の金額を不正に増やすことで行われた。

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