イマドキ学生は漢字より「ひらがな」が苦手? あえて「ひらがな」で書かせる入試の意図は

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「イホー」と「セキニン」って、やはり「違法」と「責任」と書くべきじゃないのかなあ、と、その時はひどく戸惑った。その彼は2年後、法科大学院を修了した年に難なく新司法試験に合格したので、優秀であったことは間違いないのだが、彼にとっては、漢字でもひらがなでもなく、カタカナで書くことが習慣づいていたのかもしれない。

いったい、子どもたちの頭の構造はどうなってしまったのか。私たちは今後、子どもたちにどう向き合えばよいのか……。

「字面」しか覚えていないことの弊害

ひらがなとカタカナの間で得意不得意が分かれることは理解に苦しむが、こと漢字との関係でひとつ考えられるとすれば、「読み」を正確に把握できていない子どもが増えているという点だ。

昨今、スマートフォンでは「予測変換」が主流になり、1文字入力するだけでよく使っているフレーズが候補として挙がる。受験勉強で出会う数多くの難読漢字も、「字面」では覚えていながら、正確に読むことに神経を使っていないケースが増えているのではないか。

医療現場では、患者への説明や医師同士の会話など、「発話ベース」でのミスのない情報交換も重要になる。そう考えると今回の「ひらがな問題」も、「読み」まで正確にマスターせよと、受験生に示唆する目的があったのかもしれない。

このほかにも、医学部入試に関する情報を小林公夫オフィシャルサイトにて紹介しております。ぜひ、併せてご覧ください。
小林 公夫 一橋大学博士、作家

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こばやし きみお / Kimio Kobayashi

専門は医学と法、生命倫理学。現在は生殖医療や実験的治療行為など先端医療の研究に従事している。研究の傍ら、医学部受験生の指導にあたり、医学部受験予備校インテグラ、医学部&東大専門塾クエストで、医学概論、医学部生物学、医学部小論文・面接などを指導。著書多数。代表作にシリーズ累計21万部突破の『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『新「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』「オトバンクFeBe版勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(PHP研究所)、『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)などがある。『医学部の面接 [3訂版](赤本メディカルシリーズ)』、『医学部の実践小論文 [改訂版](赤本メディカルシリーズ)』(教学社)は医学部受験生のバイブル。医学部入試に関する情報はオフィシャルサイトにも掲載している。

 

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