「繰り上げ返済は早いほどよい」に異議あり 住宅ローンを「損得」だけで考えるな
「人生で最大の買い物」となる住宅。新築にせよ、中古にせよ、大抵はいくらかの頭金を用意して残りは住宅ローンを組み、最長35年という長い期間にわたって返していく、というのが一般的なスタイルとなる。
その住宅ローンの負担を軽減する方法が「繰り上げ返済」だ。毎月やボーナス時などの決められた返済額に加えて、ローンの一部を先取りして返すことで総返済額や返済期間を圧縮できる。繰り上げ返済をした後、毎月の返済額は変わらずに返済期間が短縮される「期間短縮型」と、返済の翌月から返済額が減り、返済期間は変わらない「返済額軽減型」の2種類がある。すでに住宅ローンを組んでいる人はもちろん、これから家を買おうと考えている人にも関係する話だ。
この繰り上げ返済については、次のような俗説がある
利息を減らす効果は大きいが……
「繰り上げ返済は『最高の資産運用』になるので、住宅ローンが残っているうちは何よりも繰り上げ返済を優先した方がよい」
実際に、こうしたアドバイスをする専門家も少なくない。確かに、早めに繰り上げ返済すると利息を減らす効果は大きい。リクルート住まいカンパニーの調査によれば、2014年に首都圏で新築マンションを購入した人の平均的な住宅ローンの借入額は3539万円。このデータを参考に、端数を切り捨てて3500万円でシミュレーションしてみよう。
3500万円のローンを全期間固定のフラット35で借りたと想定し、返済期間は35年、金利は2015年7月の水準である1.61%で計算すると、毎月の返済額は10万9060円となる。このケースで購入から1年後に100万円の繰り上げ返済を行った場合、利息軽減の効果は70万8861円(期間短縮型で計算)。約70万円は確かに大きい。また繰り上げ返済に伴う期間短縮には、収入が激減する60歳の定年退職後にローンが残らないようにしたいという狙いなどもあるだろう。
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