女子社員の「売らない営業」が会社を変えた

Honda Cars茨城南の「勝ちパターン」<上>

Honda Cars茨城南の土田麻理子さん
現在、自動車の購入決定権の約8割は女性にあると言われていますが、ホンダの新車営業(全国1万1000人以上)に占める女性比率はわずか4.1%。自動車ディーラーの世界はまだまだ男性中心で、その営業方法も男勝りの「押せ押せ営業」が主流。ただ、それをいい形で裏切る「新たな勝ちパターン」も登場しています。
その例として今回紹介したいのが、Honda Cars茨城南の土田麻理子さん。経理職出身で2児の母でもある彼女は、「スタープレイヤー」的な派手さはないものの、「地道なコツコツ営業」で過去3年間の年間販売業績は、2012年度51台、2013年度64台、2014年度72台と、トップセールス級の結果を確実に出し続けています。
「女性活用」が叫ばれる一方、まだまだ男性中心の現場で、「長時間労働」や「根性」がモノを言う……という色が根強い営業の分野。どうやって女性の活躍推進をすればよいかわからないという経営者やリーダーは少なくありません。その打開策を伺うべく、今回はHonda Cars茨城南を訪ねました。

 

Honda Cars茨城南は、15店を束ねるホンダの販売会社。220名の社員中、営業は69名。1カ月の販売台数は、全国の営業の平均が4.8台なのに対し、同社は6.0台。業界全体を見渡しても、健闘している一社です。

その店舗のひとつが、土田さんの在籍する石岡正上内(いしおかしょうじょううち)店です。自動車のディーラーといえば国道沿いにあり、土日は来場者で賑わうイメージですが、こちらは車通りの少ない路地に面した立地。取材中も来客者はゼロ。店内は閑散としていました。

通常ディーラーでは、新規飛び込み客の購入が販売台数の6割を占めると言います。それが石岡正上内店の場合、「1カ月にゼロ」という月も珍しくないといいます。ディーラーとしては致命的……と思われるかもしれませんが、石岡正上内店の「勝ちパターン」は、そんな逆境があってこそ生まれたものなのです。

経理担当だった普通の主婦が自動車営業に?

Honda Cars茨城南の取締役営業部長の福田敏彦さんは、そんな石岡正上内店の立地悪条件に加え、少子高齢化、自動車離れ、将来的な増税(10%)といった市場環境の変化から、新規来店顧客に頼りすぎる運営に限界を感じ、むしろ既存顧客に働きかける必要を感じていたと言います。

なかでも「車検の獲得」営業は、他社からの切り替え需要の獲得や、代替えの需要を喚起できる大切な取り組み。そう強く考えていましたが、当時はまだ具体的に着手できていない状況でした。

5年前、石岡正上内店に異動してきたのが、土田麻理子さん。現在は39歳で、10歳と5歳になる2人の女の子を持つワーキングマザーである彼女は、おとなしく控えめな性格の、いわゆる「普通の女性」。ですが、社内のロープレ大会で1位を獲得するなど、積極性や粘り強さを持つ人でした。

そんな土田さんに可能性を見出した福田さんは、当時まだ業務職(経理担当)だった彼女に、手つかずだった車検の獲得営業を託したのです。

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