希代の起業家を成功に導いた、正しい「失敗」の仕方 2つのユニコーンを生み出したユリ・レヴィーンに学ぶ

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失敗に備えること、そして、早く失敗することは、ビジネスを立ち上げるときに習得すべき、最も重要な考え方だ。

例えば、仮説の10%しかうまくいかないとしよう。最終的に1つが成功すれば、それで十分だ。マインドセットを変化させるのだ。

「失敗を恐れるDNA」こそが「失敗」につながる

何かを計画して、それがうまくいかなかったとしよう。

「誰の責任だ」と問いただせば、責めるべき人を探すことになる。そのアプローチでは、失敗の旅は前に進まず、さらなる実験にも乗り出せない。

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その代わり、「何が起こり、そこから何を学んだか?」と問えば、会社のDNAはまったく異なるものになる。

誰の責任かを問いただせば、失敗を恐れるDNAが生まれる。新たなことに挑戦して失敗したら、自分が責任を負わされるのだと、そこにいる誰もが感じ取る。

実際には、その逆であるべきだ。つまり、挑戦者こそが勝利する。失敗の旅が会社のDNAに組み込まれたら、会社では誰かが常に「新しいアイデアがあるんだ。試してみよう」と声を上げる。

それこそが起業家の求めるべき行動だ。新たなアイデアに耳を傾け、最終的には、そのアイデアを実践するようにチームのメンバーを促そう。たとえそれがーーとくにそれが、失敗するアイデアなら。何より重要なのは、誰かが新しい何かに挑戦しようと決意することだ。

ユリ・レヴィーン 起業家

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Uri Levine

2つのユニコーン企業=デュオコーン(二角獣)を生み出した連続起業家・創造的破壊者。世界最大のコミュニティベースの運転・渋滞・ナビゲーションアプリのウェイズを立ち上げ、2013年に11.5億ドルでグーグルに売却、2020年にムービットを10億ドルでインテルに売却した。スタートアップを通じて、非効率的な市場を破壊して不十分な機能のサービスを改善し、「大きな問題」に集中して世界をよりよい場所へ変えることを目指す。幾多の失敗から成功までの過程で培った知見をもとに、次世代の起業家のメンターも務めている。2015年には、エフード・シャブタイとアミール・シナーと共に、国際NPO「Genius 100」財団により「世界の100人」に選出。

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樋田 まほ 翻訳者

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といだ まほ / Toida Maho

翻訳者。商社、旅行会社勤務を経て現職。主な訳書に、『今すぐ使える! 稼ぐウェブサイト100のアイデア』『ポジショニングの10ステップ ヒット商品を生み出す不変の法則』(以上、ダイレクト出版)、『アウトサイダーズ 大自然を旅して生きる』(グラフィック社)、『VAN LIFE ユア ホーム オン・ザ・ロード』(トゥーヴァージンズ)、『マリメッコ プリント作りのアート』(青幻舎)などがある。

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