合法的に"人をカモるビジネス"横行するカラクリ 「認知的な脆弱性を抱える人」が大被害に遭う

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小
「自分は大丈夫」とほぼすべての人が思い込んでいる(写真:Graphs/PIXTA)
ニュース沙汰になるような重大な詐欺師でなくても、この社会には善良な人たちの心の動きを利用して、「ズル賢く立ち回りたい人」がごまんと存在する。
「見えないゴリラ実験」(2004年イグ・ノーベル心理学賞受賞)で一躍有名になった心理学者、ダニエル・シモンズとクリストファー・チャブリスの2人は、明らかに犯罪とはいえなくても、現代の企業の多くは「欺瞞的な手法」を標準的なビジネスとして採用しており、もはや合法と非合法の境界があいまいになっているという。望むと望まざるとにかかわらず、自分を守るために「ズルい人の手口」と「認知のしくみ」を学んでおかないと、生きにくい世界だということだ。
シモンズとチャブリスの最新刊『全員“カモ”』の冒頭で解説を寄せた作家の橘玲氏が、自身の経験をまじえながら、「フェイクが横行する時代」を生き抜くシンプルな対策を提示する。

自分は絶対だまされないと思っているなら、かなり危険

全員“カモ”: 「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法
『全員“カモ”:「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

ワイドショーでたまたま見かけた特殊詐欺のニュースに「なんでこんな手口に引っかかるのか」と嗤(わら)い、自分は絶対だまされないと思っているのなら、あなたはかなり危険な立場にいる。なぜなら、誰もがいつかどこかでだまされることになるし、自信があるひとほどヒドいことになるからだ。

『全員“カモ”』の著者である心理学者のダニエル・シモンズとクリストファー・チャブリスは、「見えないゴリラ実験」(2004年イグ・ノーベル心理学賞受賞)で、「全員“カモ”」になる理由を示した。

次ページゴリラがまったく見えなかった…!
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT