AKB商法を実は非難できないこれだけの理由

視聴形態が多様な時代の音楽チャートを考える

東洋経済オンラインの読者諸君!私は問題提起したい。音楽の人気ランキングである音楽チャートについてだ。「日本の音楽チャートは、このままでいいのか」「今の音楽の楽しみ方と、ズレているのではないか」と。
6月上旬に米国・サンフランシスコで開かれた「WWDC15」で、米アップルはついに音楽の定額配信サービス「Apple Music」を発表した。エイベックス・デジタルとサイバーエージェントも5月下旬に「AWA」という定額制音楽配信サービスを発表。「LINE MUSIC」、さらには海外で人気の「Spotify」など音楽の世界では、今、定額配信の話題で持ちきりだ。
今の音楽シーンを語るときには、「音源よりもライブの時代だ」とも言われている。一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の、2014年の年間基礎調査データ報告書によると、昨年の動員数は累計約4262万人で、前年比9.7%増、売り上げベースでは2749億円と同18.6%増だった。「YouTube」のような無料動画サイトなども、音楽の視聴手段として定着している。
定額配信の登場、ライブの盛り上がり、無料ネット動画を通じた視聴など、よく言われる変化以外にも注目したい点がある。それはシングル盤の売り上げや、そもそもの音楽CDの新規購入自体が、いまや音楽の楽しみ方の一部にすぎないということだ。シングル盤のセールスは、売り上げの2割にすぎないし(サウンドスキャン、レコード協会調べによる2014年売り上げシェアより)、CDの新規購入は音楽接触パターンの30%に留まっている(レコード協会調べによる2013年音楽ユーザー調査より)。
このように、音楽の視聴形態が多様化する中で、今のヒットチャートは時代とズレていないかと思ったりする。要するに「売れている」ランキングだけではなく、「聴かれている」ランキングが必要ではないかと思うわけだ。「売れている」ランキングになっているがゆえに、いわゆる「AKB商法」と言われるような、おまけをウリにしてCDの販促を行うといった手法などがよくも悪くも目立ち、一部では非難されるようになっている。
今後のチャートのあるべき姿とは何か? CDの売り上げだけを基準にしない、複合的な指標によるヒットチャート「Billboard Japan Hot100」を開発・運用するビルボードジャパンの礒崎誠二氏にインタビューした。ちなみにBillboardはアメリカで最も権威のある音楽チャートのひとつである。

AKB48は、ちゃんと聞かれている

常見陽平(以下 常見):礒崎さん、単刀直入にお伺いします。AKB48の楽曲って、ちゃんと聴かれているのですか?

ビルボードジャパン礒崎誠二(以下 礒崎):(苦笑)。

常見:よくネット上で話題になることではありますが……。日本のシングルセールスチャートの上位はAKB48と嵐の楽曲がほとんどを占めています。「AKB商法」と言われる、握手券などの特典が付いて、複数購入させる手法を問題視する声もあります。売れているのは確かだと思いますが、聴かれているのですか? 実際、どうなんでしょう?

礒崎:結論から言うと、間違いなく、聴かれています。どうしてそう言えるのか。その前に、問題意識や前提をお伝えしますね。

常見:はい。ぜひ、よろしくお願いします。

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