運転歴30年タクシー運転手の脳が成長した理屈 「加齢=記憶力の低下」は脳科学的には間違い

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実は「加齢=記憶力の低下」とすぐに結びつけるのは、脳科学的には間違いだということがわかってきました(写真:Graphs/PIXTA)
「最近、物忘れがひどい」「人の名前が出てこない」「あれ、それ、あの人、といった指示代名詞が多くなった」といった症状を自覚する人はいませんか?
「これって歳のせい?」「もう記憶力を高めることはできないの?」と諦めている人もいるかもしれません。ですが、楽をして記憶に残すことは可能です。脳の仕組みを研究した精神科医の樺沢紫苑さんが、「記憶」と「学び」について20年以上の試行錯誤をわかりやすくノウハウとしてまとめた『記憶脳』から一部抜粋、再構成してお届けします。

脳の衰えや認知症を防ぐ

最近、人の名前がパッと出てこない。今、何をとりに来たのか、忘れてしまった。先日読んだ本のタイトルが、パッと思い出せない。重要な約束をうっかり忘れていた……。

こんな「物忘れ」の症状が現れると、「ひょっとして、自分は認知症になるんじゃないか」、あるいは「もう認知症が始まっているんじゃないか」と不安になる人もいるでしょう。

ほとんどの人は「記憶力の衰えを防ぎたい」と強く願っている一方、「歳をとると記憶力が衰えるのはしようがない」とあきらめているのではないでしょうか。そして、衰えていく記憶力に対して、何も対策を講じていない人がほとんどだと思います。

脳をあまり使わないでいると、働きは低下し、記憶力は衰えていきます。あるいは脳細胞もドンドン死んで、脳が小さく縮んでいきます。これを「廃用性萎縮」といいます。

高齢者の脳をMRIという断層写真で見ると萎縮していることが多いですし、加齢とともに脳は毎年少しずつ萎縮していきます。

こう聞くと、多くの人は「やはり歳をとると記憶力は低下するんじゃないか」と感じるでしょう。しかし実は、「加齢=記憶力の低下」とすぐに結びつけるのは、脳科学的には間違いだということがわかってきました。

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