リスニングは精聴&多聴のセットで鍛えろ! ただ漫然と聞くだけではダメ

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安河内:ああ、スピーキングは話す側に主導権がありますものね。1回で伝わらなくても、相手が怒り出さないかぎりは何度も言い直しが可能だと。 I’m looking for、I want to...、Where is...?と、手を替え品を替え言い直しをすればいい。自分の言いたいことが伝えられない人は、大概、あきらめが早かったりしますものね。あとは、ほかの言い方がわからないので、伝わらない言い回しをリピートしまくるだけ、とか。

松村:そうですね。もっとやっかいなのは、返事の聞きとりのほう。トイレの場所がOver there.(あそこ)なら簡単でいいんですが、「階段を2階ほど降りて、まっすぐ行くとドアがあるから、そこを左に曲がって、さらに右に進むと……」となると、全然わからなくなってしまう。なので、次はリスニングをどうにかしないと、と考えたんです。僕にとってそのときの最重要課題は授業の内容をきちんと理解して、しっかりよい点数をとることだったので。

単語の丸暗記をしながら、とにかく英語を聞き続けた

鉄則その4:リスニングは精聴&多聴のセットで鍛えろ!

安河内:それじゃあ、4つ目の掟はリスニングなんだ。

松村:はい。とにかく英語を聞き続けました。

安河内:まあ、高校で赤点だったら、英語の聞き取りだって全然できなかったでしょうからね。純ジャパは、カタカナ英語の発音以外の英語を聞くと、何を言っているかほとんど理解できない。私も大学で初めてネイティブの英語を聞いたときは、チンプンカンプンでした。じゃあ、英語漬けの環境の中でも、次は英語のシャワーをビシバシ浴びたんだ?

松村:ええ、そうです。日本からひとつだけリスニング教材を持ち込んでいたんです。カセットテープに録音された音声は、テキスト付きで英文にもなっている精聴タイプのものでした。ですから、文字を追いながらこの教材を聞いていました。でも精聴は100%精力をつぎ込まなければならない。つまり「ながら勉強」に適していないので、費やせる時間は限られます。圧倒的に時間が足りなくて不十分だったので、家事の片手間などでも、とにかく英語を流し続けました。

安河内:多聴ですね。何を聞いていましたか?

松村:ラジオでBBC World Newsを聞きました。シャドーイングをしながらです。といっても、シャドーイングという言葉はそのころ知りませんでしたし、効果的な学習法という意識をありませんでした。ひとり暮らしでラジオの音しかないし、さびしいし、つまらない。だったら自分もマネしてみようという感覚だったんでしょう。

安河内:今でこそシャドーイングの効果は方々で指摘されていますが、いちばんがむしゃらに英語学習をしていた時期に、松村さんはそうとは知らず取り組んでいたんですね。偶然だったにしても、すばらしいなと思うのは、精聴、または多聴とひとつだけに絞らず、同時に両方を行ったことです。片方だけしかやらないという英語学習者って、けっこう多いんです。

でも、リスニング力を効果的につけるのにいちばん大事なのは、精聴で基本的な音の聞き取りをじっくり固めて、多聴でそれを実践すること。この最もバランスのいいリスニング学習を、偶然、やっちゃっていたわけですね。野生の勘で最短距離を走ってたんだ!

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