新銀行東京を引き取る東京TYの思惑とは?

中小企業向け取引で東京都と連携

設立から11年、不良債権比率も3.96%まで下がり、ようやく引き取り手が見つかった新銀行東京(撮影:高橋孫一郎)

東京TYフィナンシャルグループ(以下東京TY)と東京都が出資する新銀行東京とは2016年4月に経営統合することでで基本合意した。統合は株式交換の形で行われ、東京都が東京TYの株を保有する形となる。新銀行東京が発行している優先株400億円も、東京TYが発行する優先株へと置き換える方針だ。株式の割り当て比率など条件の詳細は今後のデューディリジェンスを経て今年9月に発表される。

東京TYは昨年10月に東京都民銀行と八千代銀行が持ち株会社を設立する形で統合し、誕生したグループ。新銀行東京は石原慎太郎・元都知事の失敗案件だ。

都は悩まされた銀行経営からようやく手を引く

新銀行東京が2004年に設立された背景には、バブル崩壊があった。1997年~2003年に金融機関の多くが多額の不良債権処理から資本不足に陥り、貸出金を削減せざるをえなくなり、いわゆる「貸し渋り」「貸し剥がし」といった言葉が流行した。新銀行東京はそうした中で中小企業支援を掲げて設立された。

ところが、そもそも中小企業の信用リスクを判断するノウハウも持たない中で、他行が貸せないような企業への融資や特定の企業への大口融資を行うなど、審査は杜撰で不良債権を積み上げる結果となった。しかも、2003年のりそな銀行への公的資金注入で、銀行の不良債権問題はほぼ解決をみたうえ、企業は内部留保を積み上げて資金余剰主体に転換。日銀のゼロ金利政策と量的金融緩和で、カネ余り環境の中、銀行は融資拡大へ熾烈な金利競争を行う状況に変わり、設立の大義さえ失われた。

創業3年で1000億円の都民の血税をほぼ食い潰し、清算すべきとの声をよそに、2008年には400億円の追加出資を行った。その後、長い時間がかかったが、2015年3月末の株主資本は535億円、銀行規制上の自己資本569億円に対し、不良債権額は80億円、不良債権比率3.96%とようやく体質改善が進み、引き取ってもらえた形だ。東京都の税金を使っている以上、相手は東京都の中小企業や個人を顧客基盤とする東京TY以外にあり得なかったといってよい。

今回、東京都が手を引くに当たり、舛添要一知事は「400億円の資本は毀損させないこと」「中小企業支援は続ける」と語ったが、本音はほっとした、というところだろう。東京TYの柿崎昭裕社長は「簡易なデューディリジェンスしかまだ行っていないが、合意に達したということから斟酌していただきたい」と、今回の統合では毀損が生じないことを示唆した。

今後、優先株400億円の返済は東京TYが行っていくことになる。もちろん、株価が大幅に下がるようなことがあれば、優先株の価値は下がるため、価値を高めるよう経営努力していかなければならない。「東京TYの既存の株主にとってダイリューション(希薄化)を起こさないように考えていきたい」(柿崎社長)としている。

一方の東京TYにとって、新銀行東京を引き取るメリットは何か。

2015年3月末で東京TYは貸出金3兆2948億円、預金量4兆4913億円、店舗は161。対する新銀行東京は貸出金2007億円、預金2615億円で、1店舗しかなく、新銀行東京の統合そのものの影響は小さい。

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