住宅ローン「終わらない金利競争」の果てに 3メガバンクが向き合う攻防は「金利外」へ
「ほかの金融機関との激しい金利競争で、住宅ローンの利ザヤは年々落ちている。なんとか採算を確保して運営しているが、その水準は極めて厳しい」
メガバンクの住宅ローン担当者がこぼす。
主力の「10年固定型」住宅ローンの最優遇金利は、今年2月に3メガバンクとも、年1.1%まで下がった。過去最低水準だ。その後、10年物国債金利が上昇したことで、4月の10年固定型住宅ローンの最優遇金利は、三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行が年1.25%、みずほ銀行が年1.20%へ若干上昇したが、低水準にあることに変わりはない。
激化する住宅ローン競争の現状を受け、金融庁も動いた。1月に大手銀行や一部の地方銀行に対して、住宅ローンの金利ごとの新規融資額や融資残高、損失率、借り手の年収に占める返済額の割合、2030年度までの収益の見通しなどを報告するよう求めたのだ。
「いつかは止まると思ったが…」
「住宅ローンの金利競争は10年前から激しかった。いつかは止まるだろうと思っていたが今までずっと続いてきている」(別のメガバンクの住宅ローン担当者)。終わらない金利競争に、金融庁は報告を求めるという形で警告を発している。
金利で激しい競争をしているにもかかわらず、3メガバンクの住宅ローン残高は減少している。2014年9月末の居住用住宅ローン残高は、三菱が12兆3872億円と14年3月末比1.0%減、三井住友は10兆9135億円へ同1.6%減、みずほは10兆1490億円へ同0.8%減と、いずれも減少している。消費増税の影響だけではない。各行とも2010~2012年以降、減少が続いている。
一方で、新たな住宅ローン商品・サービスを投入する動きがある。
2月16日からみずほが始めたのが、ネットローン金利の引き下げ。借り換えに特化したものだが、インターネットで申し込みから借り入れまですべての手続きを完結すれば、通常の住宅ローンよりも金利を0.1%引き下げるというものだ。変動金利の水準でいえば、通常なら0.775%であるところを、0.675%で借り換えられる。
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