日本株上昇で最も「得をしている」のは誰なのか 企業が余剰資金を突っ込む株価上昇のカラクリ

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(写真:ABC/PIXTA)

10年に一度、一時的な株価の高騰と改革の約束が相まって、株式ブローカーや政治家、そして一部のアナリストが 「日本の復活」を宣言する。その10年がやってきた。だが、今回の「宣言」も、橋本龍太郎、小泉純一郎、安倍晋三の各首相の時代に語られたのと同様、幻想に終わる可能性が高い。

日経平均は2018年初頭から60%上昇しているが、実質GDPの成長は1%増とわずかでしかないうえ、従業員1人当たりの実質報酬に至っては5%減っている。

一般大衆にはほぼ恩恵がない株価上昇

つまり、株価の上昇は日本経済についてはほとんど“語っていない”。むしろ株価が反映しているのは、企業利益の増加と自己株買い(企業が自己株を買うことで株価を上げること)の氾濫である。

つまり、経験豊富な投資家は大儲けできるが、一般大衆にはほとんど恩恵がないというわけだ。

株価は、現在の利益と将来の利益に対する期待の両方を反映しているはずである。利益というのは、売上高の増加や企業効率の改善などを反映したものであるべきだ。しかし、現在の日本ではそうなっていない。

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