松本人志「性加害騒動と活動休止」混沌招く5大論点 「まつもtoなかい」「ガキ使」などもどうなる?

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松本さんにはプライバシーの侵害による損害賠償請求も考えられますし、所属元の吉本興業は業務妨害を理由とする損害賠償請求もありえるでしょう。その意味では、日本の芸能史上、かつてないほど損害賠償額の行方が注目される裁判になるのかもしれません。

ただ、それでも松本さんが活動休止することのダメージはあまりに大きいだけに、その目的が名誉毀損と損害賠償だけではないことは明らか。「週刊文春」に限らず芸能人に対するメディア報道のあり方、特にプライバシーの侵害に対する抑制など、業界や同業者に対する影響を見据えたうえでの行動でなければ、あまりにも割が合わない戦いだからです。

一方、8日にあらためて「一連の報道には十分に自信を持っており、現在も小誌には情報提供が多数寄せられています」とコメントした「週刊文春」も、仮に負けたとしても多額の損害賠償を支払う必要性のない戦い方を準備しているのではないでしょうか。

その点、時にできるだけ少ないダメージで負ける戦いを仕掛けられることも「週刊文春」の強みなのかもしれません。その彼らにとっての小さな負けがあまり報じられないことも含めて、「文春無双」というイメージ戦略が成功しているところも感じさせられます。

だからこそ松本さんには、「多くの人々が注目する中で、週刊誌の象徴である『週刊文春』を負けさせることでメディア側が絶対有利な現状を変えたい」という思いがあるように見えてならないのです。

「証言台に立つ」女性たちの戦い

3つ目の論点は、「被害女性たちが声をあげた背景と告訴はあるのか」。

被害者女性の1人は報道の中で、「ジャニーズ事務所の性加害騒動を見て勇気をもらった」ことを明かしていましたが、その発言内容を見る限り、強い怒りや使命のようなものを感じさせられます。

ただ、ネット上には松本さんを非難する声だけでなく、被害女性に対する誹謗中傷のような書き込みも少なくありません。さらに、これほど記事やコメントが増えていることの精神的重圧は大きく、「どこかから情報が漏れて個人情報が特定されるかもしれない」という不安とも戦わなければいけないでしょう。

加えて今後は、松本さんと「週刊文春」の間で行われる裁判にもかかわっていかなければいけません。その間、穏やかな生活を送ることは難しく、期間が長く続くほど苦しさは増していくのではないでしょうか。

「週刊文春」の続報によると、ある被害女性は「今後、裁判になったとしたら証言台で自分の身に起きたことをきちんと説明したいと考えています」とコメントしていました。厳しい日々と戦いが予想される中、もし複数の被害女性がいて、被害を受けた日時や場所を越えて一枚岩になるようなことがあれば、世間を味方につけられるかもしれません。

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