松本人志「性加害騒動と活動休止」混沌招く5大論点 「まつもtoなかい」「ガキ使」などもどうなる?

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まず「性加害は本当にあったのか。その結果で松本さんはどうなるのか」について。ネット上で最も多い議論はこの「性加害の有無」ですが、被害者にとって極めて重要なことである一方で、松本さんサイドと「週刊文春」にとってはそこまでではないというムードが漂っています。

松本さんサイドにしてみれば、「性加害はしていない」という認識がある上に、ネット上に「かなり前の出来事だし、証拠がないのでは」「LINEの内容とか(被害女性にとって)不利なものしか出なさそう」などの声が挙がっており、被害の立証が難しいことから、松本さんサイドがあまり不安視していない様子が伝わってきます。

一方の「週刊文春」は、もし性加害が裁判で認められなかったとしても、それで自分たちが「松本さんに対する名誉毀損で罪に問われるか」は別問題。法律上、「報道に公共性・公益性があり、真実ではなくても、真実相当性(真実であると信じる理由や根拠)を証明できれば罪にならないことがある」ことを熟知しており、「それを裏付ける取材を緻密かつ繊細に重ねてきた」という勝算があるのでしょう。つまり、「性加害が認められなかった場合でも、ダメージを受けないように裁判を進められる」という手応えのようなものを感じさせます。

ちなみに、本人がXに投稿しているように東国原英夫さんは2012年に週刊文春へ損害賠償を求めて提訴。2年後の2014年に名誉毀損が認められ、「週刊文春」には220万円の支払いが命じられました。東国原さんは約2年の年月がかかりましたが、松本さんのケースでは今後、証人の数が増え、控訴や上告で長引けば、さらに時間がかかるとみられています。

もし裁判所から和解を提示されても、活動休止という覚悟やメディア報道への不信感を踏まえると、松本さんが受け入れる可能性はかなり低いとみるのが自然でしょう。活動休止を発表したときからネット上に「これで松本は消える」という声が挙がっていましたが、その背景としては「性加害が認められるか」という点以上に、「裁判に費やされる年月の長さ」によるところも大きいのです。

松本さんが裁判に全力で挑む最大の目的

2つ目の論点は、「松本人志VS週刊文春、名誉毀損をめぐる裁判の損害賠償額」。

前述したように松本さんと「週刊文春」それぞれに戦う意思や勝算があり、長期化が避けられない状況でクローズアップされるのは損害賠償額。報道に伴う松本さんの活動休止で失われる利益は莫大な金額になるだけに、勝訴した場合「いくらなのか」が焦点になるでしょう。

前述した東国原さんのケースでは、名誉毀損が認められても損害賠償額はわずか220万円にとどまりました。もちろん裁判の内容は異なるものの、自身のXに橋下徹さんが「100万円、200万円の慰謝料を払っても(雑誌が)売れた方が得ですからガンガン書いてきます」、東国原さんが「こんなもん弁護士費用も出ないという話。場合によっては、数億、十数億、数十億という損害賠償が認められるべきではないかな」などとつづっていたように、「これまでの金額ではふさわしくない」という声が挙がりはじめています。

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