ヤマハ、「中国ピアノ市場の変調」により曲がり角 2024年は新たな「成長ストーリー」を描き出す年

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ヤマハのピアノ
写真はヤマハのグランドピアノ。ヤマハの調べによるとピアノで33%(2022年度時点)、デジタルピアノでは47%(同)の世界シェアを持つ(撮影:梅谷秀司)

2023年後半に株価が急落したのは楽器大手のヤマハだ。8月頃まで5000円台前半で推移していた株価は下落を続け、足下では3000円台前半だ。

ヤマハは2010年代を通じて、中国など新興国の開拓を進め右肩上がりの成長を遂げた。半導体不足で商品供給に苦しんだコロナ禍においても、外出制限中に自宅で楽器を楽しむという巣ごもり需要が追い風だった。

それが一変したのはなぜか。2023年に明らかになったのは、過去10年間ヤマハが乗っかっていた「成長ストーリー」の変調だ。

業績予想の修正を境に株価下落

株価下落の最初のきっかけは、2023年度通期業績予想の下方修正だった。2023年8月2日に第1四半期決算と一緒に発表された。

インフレが進んだ欧米で、低価格帯の電子ピアノを中心に楽器需要が想定よりも弱かった。電子ピアノは利益率が高いため、業績に与える影響が大きい。この修正で株価は一気に800円近くも下がった。

ヤマハの株価

しかしより深刻なのは、11月に発表された2回目の修正だ。下方修正したとはいえ8月の時点では前年度比で7.6%の増益を見込んでいた営業利益を減益に修正した。

需要が軟調な中、市中在庫の調整のために楽器の減産を実施し費用が発生したのが主な要因だ。加えて、中国での市況回復が難しいと判断し予想に織り込んだ。中国については2024年度も厳しい状況が続くとみる。

中国では単に深刻な景気後退で市況回復が遅れているだけではない。

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