前回に続き、無印良品ブランドを運営する松井忠三(ただみつ)良品計画前会長との対談後半を掲載します(対談は会長時代に行われました)。 同社が作り上げた「誰でも一定の成果が出せる」2つのマニュアルが、今も更新され続けている理由などについて話を伺います。
あらゆる業務はマニュアル化できる
遠藤:生活用品からファッションまで扱う無印良品ですが、松井さんが『無印良品は、仕組みが9割』という本を2年前に出版されてからは、その「マニュアル」自体も、企業の人事担当者の間で話題になっているようですね。
松井:ええ、確かに拙著の出版以降、当社のマニュアルの運用状況を、多くの企業の方が視察にいらっしゃいます。
遠藤:「こんなものまでマニュアルにしています」という代表例を教えていただけますか?
松井:そうですねぇ……。店頭ファッションのコーディネートも「わずか1ページのマニュアル」になっています。
遠藤:個人の経験やセンスが問われそうな業務が、たったの1ページですか?
松井:はい。基本は、「洋服のシルエットを△形か▽形にする」と「使う服の色は3色以内」の2点だけ。数種類の見本写真を使い、簡潔に説明しています。「店舗運営用マニュアル」の1項目で、全体では約2000ページになります。
遠藤:2000ページのマニュアルですか。評判にたがわぬ「徹底したマニュアル化」ですね。
松井:前回お話ししたように、かつての無印良品は、店舗ごとに商品の展示法や店舗レイアウトにバラつきがあり、その反省から生まれたものですから。
遠藤:なるほど。ほかには、どんなマニュアルがありますか?
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