住友化学の最悪決算招いた経団連会長の経営判断 外部要因への耐性低く複数事業が同時に炎上

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住友化学は昨年2月に続き、またも巨額の下方修正を出した。今期の最終赤字額は過去最悪になる見通しだ(記者撮影)

“財界総理”はいま、何を思うのか―。

十倉雅和・経団連会長の出身母体であり、十倉氏が現在も会長を務める住友化学が苦境に直面している。

2024年3月期決算の上半期(4~9月)は、コア営業損益(営業損益から一時的な項目を除いたもの)が966億円の赤字(前年同期は1156億円の黒字)、最終損益は763億円の赤字(同810億円の黒字)になった。

通期予想も下方修正した。最終損益は従来の100億円の黒字から950億円の赤字へと1050億円も引き下げた。

上期実績と通期予想ともに最終赤字額は過去最悪だ。岩田圭一社長は11月1日の決算会見で「創業以来の危機的状況であると重く受け止めている」と述べ、自身と十倉会長の役員報酬を一部返上することを明らかにした。

2期連続の巨額の下方修正

住友化学は今年2月にも、前期の2023年3月期の最終損益の見込みをそれまでの1050億円の黒字からゼロへと引き下げたばかり(実際は69億円の最終黒字で着地)。2期連続での巨額の下方修正となった。

中国の景気停滞の影響や半導体市場の回復の遅れもあり、化学業界には2022年後半から強い向かい風が吹く。とはいえ住友化学の落ち込みは際立つ。主要事業が軒並み前期より、かつ期初想定よりも悪化しているからだ。中でも石油化学系、医薬品、メチオニン(鶏飼料添加物)の3事業が大きく足を引っ張っている。

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