「日本一の芸人」横山やすしが涙した奥さんの一言 M-1創設者が語る「天才漫才師の隠された悩み」

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黒縁のめがね
横山やすしのマネージャーだった筆者は本番直前にメガネを買いに走らされました(写真はイメージ。写真:freeangle/PIXTA)
年末恒例の漫才コンテスト、「M-1グランプリ」。このコンテストをゼロから立ち上げた元吉本興業の谷良一氏が舞台裏を書き下ろした著書『M-1はじめました。』が刊行されました。
谷氏はM-1を企画するまで、芸人のマネージャーなどをしていました。そこで出会った異才たちとのエピソードをつづった連載エッセイ「天才列伝――ぼくの出会った芸人さんたち」を、『お笑いファン vol.2』から抜粋・再編集してお届けします。このエッセイで描かれるエピソードに、M-1創設につながる、著者の芸人に対する価値観が見え隠れします。
前編に続き、横山やすし編の後編です。

おっとりした穏やかな奥さん

やすしさんと言えば、きちっとオールバックにセットした髪型が有名ですが、あの髪型を維持するために毎日散髪に行ってました。

M-1はじめました。
『M-1はじめました。』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

梅田の阪神百貨店に入っている理髪店が行きつけの店で、しまいに、そこのお気に入りの理容師さんにテレビ局まで来てもらっていました。店長にも無理を言って、来させてしまうのがやすしさんです。

頼まれた方も、いやとは言えない話術と魅力がやすしさんにはありました。逆にやすしさんに呼ばれることを自慢にされていたのかもしれません。

やすしさんは毒舌とアクの強いキャラで売り出しましたが、対照的に奥さんはとてもおっとりした穏やかな方でした。やすしさんが「ちゃっちゃとせえや」と苛立っても、「そんなに早うでけへんわ」と柔らかく返すので、いいコンビだなあと思って見ていました。

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