山崎パン絶好調「巧みな値上げ」で節約時代に脚光 株価は「上場来高値」、菓子パンでヒット連発

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多くのロングセラー商品を誇る山崎製パン。値上げが相次ぐ中で、その安さとボリューム感は多くの消費者の心をつかんでいる(記者撮影)

3298円――。

11月2日、山崎製パンの株価が1962年の株式上場以来、最高値を更新した。1月12日に1471円の年初来安値をつけて以来、倍以上も株価が上昇したことになる。足元の株価は調整局面ながら、高値圏で推移する。

ここ数年は円安や原材料高の影響で、食品メーカー各社は値上げを続けてきた。しかし消費者の反応は厳しく、予想以上の販売数量の減少に苦しむメーカーは少なくない。

そんな中、山崎製パンはどこ吹く風だ。国内パンシェア4割を誇る同社は、主力の菓子パンを中心に、ほぼすべてのカテゴリーが健闘している。好調な理由は、値上げ効果やコロナ禍からの経済活動再開だけではない。試行錯誤の中、さまざまな改善策を積み重ねてきたことに尽きる。

菓子パンが牽引、コンビニ向けも好調

10月25日に発表した2023年第3四半期決算(1~9月)は、売上高が前年同期比6%増の8462億円で着地。本業のもうけとなる営業利益は同73%増の278億円となった。従来は夏場に利益を落とす傾向が強かったが、今期は過去最高ペースで通過した。

会社側は今2023年12月期の営業利益340億円を見込む。これは過去最高水準(2016年の351億円)に迫るが、足元の状況を見ると会社計画を超過しそうな勢いで推移している。

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