山崎パン絶好調「巧みな値上げ」で節約時代に脚光 株価は「上場来高値」、菓子パンでヒット連発

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原料高の影響はもちろん、値上げに伴う数量の減少もあったが、菓子パンを中心に伸ばし、「ロイヤルブレッド」などの食パン、和菓子、洋菓子、調理パン・米飯、製菓など、すべての部門で増収を確保している。

牽引役である菓子パンの売上高は同9%増の3045億円。節約志向が高まる中、ボリュームがあって比較的安い「コッペパン」や「まるごとソーセージ」「薄皮シリーズ」などが数量を伸ばした。

際立つ「安価でボリュームがある」強みは

大手コンビニが展開するPB製品向けも好調だった。ローソンではメロンパンや「あらびきポークフランクロール」、ファミリーマートは「生コッペパン」シリーズ。セブンでは「チュロッキー」や、複数個入りのパンなど、おなじみのPB商品を多く手がけている。

山崎製パンは7月に値上げを実行している。食パンは平均7.6%、菓子パンは平均6.8%の値上げだ。それでもほかの食品カテゴリーと比べればまだまだ安く、むしろ「安価でボリュームがある」強みは一層際立っている。

経済の再開でイベントなどが増え、外で食事をとるシーンも増える中、手軽に持ち歩ける菓子パン類の簡便性も改めて意識されたことも影響しているようだ。

興味深いのは、特に東京都23区内で菓子パンの売上高が伸びていること。出社する人が増えたことや、インバウンドを含めた観光客が増え、コンビニなどを利用していることも要因の1つとなっている。

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