東芝でボロ儲け、4500億円超を稼いだファンド群 2017年からのファンド株主の利益を独自に試算

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2023年の東芝の株主総会
2023年6月の東芝の株主総会。出席したある株主は「今日は東芝の卒業式だ」と話した(記者撮影)

非上場化に向けて行われた東芝に対するTOB(株式公開買い付け)が、9月20日に終了した。投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)率いる企業連合からの買収提案に、78.65%の株主(議決権ベース)が応募。TOB成立に必要な66.7%を超えたことで、一連の買収は成立する見通しだ。

東芝の経営陣は今年3月に公表されたJIP連合による買収提案に当初から賛同し、6月以降は株主に対して応募を推奨してきた。TOB成立を受けて東芝の島田太郎社長は、「多くの株主の皆様に当社の考え方をご理解いただけたことに深く感謝申し上げます」とのコメントを発表している。

JIP連合が提示したTOB価格は1株4620円。買収総額は1兆9987億円に上る。それだけの巨額を投じた非上場化の最大の目的は、アクティビストファンドという“うるさ型”の株主の排除だった。

利益1300億円超のファンドも

東芝は2015年に不正会計が発覚。その後、アメリカの原子力発電事業で2017年に巨額の損失を計上し債務超過に転落した。東京証券取引所での上場廃止を回避するため、同年12月に6000億円の第三者割当増資を実施した。この増資を引き受けたのが、機関投資家やアクティビストであった。

現在に至る経営混乱の主な原因だとメディアなどで指摘されてきたのが、アクティビストと経営陣の対立だ。短期的な利益を追求するアクティビストと長期目線の経営を目指す経営陣は意見の相違が大きい、というストーリーだ。

そのように色づけされるアクティビストだが、東芝に対する投資では実際どのように行動したのか。東洋経済では、2017年の増資前後に東芝株を売買した株主の動きを公開資料から分析し、アクティビストを含めたファンド株主の得た利益を試算した。

各ファンド株主が得た利益を合計すると、4500億円超という試算になった。次ページ以降で利益の額が上位のファンド株主を見ていこう。

次ページ利益額で上位20のファンド一覧
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